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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄遂行 その02
しおりを挟む??? ■■■■
魔物たちに先導(?)され、禍々しい転送陣からどこかへと転移した俺。
道中妨害しに来た強者たちも、肉壁と化した魔物たちに阻まれ来れなかった。
──そう、侵略者と混沌の使徒によって強化された連中によって。
俺が向かった先は、そんな連中が絶対に細工している空間。
あからさまに黒い闇の中、俺は懐中電灯を片手に歩く。
「……やっぱり素手で」
起動し、光が辺りを照らす──かと思ったら、闇が暗過ぎて光は先を照らせない。
なのでせっかく準備したアイテムは再びしまい込み、闇の中を歩んでいく。
《暗視はどうやら不可能なようです。加え、地形そのものが歪んでおり反響による把握も困難な状態にあります》
「……仕方ありませんね、招待された身でそこまで文句は言えませんか」
少なくとも、地面を踏む感触はしっかりと感じ取れる。
コンクリートを踏むような固さ、それを踏み締めて進んでいく。
「どこまでも続いていますが、これはいったい何が目的なのでしょうか?」
たしかに、こういった空間でひたすら孤独だと精神が狂うというのは定番ではある。
しかしながら、俺の場合『SEBAS』が居るのでまったく困らない。
ついでに言うと、休人なのでいつでもここから去って人の温もりを知れるわけで。
……要するに、時間を無為にする行いは避けたいわけだ。
「──“再生入器:命燃やす灯火”」
勾玉型の人工遺製具を握り締め、起動。
呼ぶのはアイスプルの固有種、『命火灯玉[アライボウィスプ]』。
一時的に遺製具の中に、彼の力が宿りその能力を行使可能になる。
名前を冠する能力は、それ自体が原典──闇の中に火が灯る。
「命を燃やす、いい言葉ですね……これは、私と非常に相性がいい」
普通に考えれば、魔物に与えられるリソーススペックを前提とした能力を、人の身で使用しても適合しない──が、休人という特殊な身と『生者』の権能は噛み合っていた。
それに加え、今では星敵としての更に膨大なリソースが存在する。
……まあそちらはあまり関係ないが、いづれにせよ都合よく行使できた。
「聞いているでしょうから、ご説明いたしましょう。“命燃やす灯火”、それは端的に申してしまえば──死ねば死ぬほど、確実に相手にダメージを与えられる能力です」
そう、それに尽きる。
俺も[アライボウィスプ]も、残機を基に無双する派──ただしあいつはきちんと本体は別枠で、俺は本体が残機制なだけ。
だからだろう、休人という無限のアバターがある俺の方がこの能力は適していた。
それは本来、自分の死という重いリスクがあるからだろう。
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