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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄実行 その30
しおりを挟む邪悪神殿 七十九層
「……おおっと、ついに変化が」
何も変化がないことに違和感を覚え、警戒しながら上っていった七十層以降の階層。
原付を飛ばして辿り着いた七十九層、そこでようやく変化が現れる。
『■■■■……』
「ただまあ、望んじゃいない展開だな。邪悪な魔物、プラス侵略者と宇宙的恐怖。怖い物のバリューセットだろう」
今までは鳴りを潜めていたゲテモノごった煮みたいな個体たちが、この階層から再び現れだした──それも大量に、まるで今までに貯めていたモノを解き放つが如く。
「スルーしてもしなくても、何かしらの問題はありそうだな」
《そのようです──こちらを》
「…………おっと、あからさま」
それはドローンが撮ってきた映像。
映し出されているのは、この階層から出るための転送陣──ただし二つ、普段のモノに加え禍々しいどす黒い転送陣が存在した。
「誘ってる? これ、絶対に俺を誘っているよな。けど、星がこれに関わっているかと聞かれれば──」
《おそらくは関与していないことでしょう。それを証明するように、転送陣の消去が行われております》
黒い方の転送陣は、まるで切れかけの蛍光灯のようにチカチカと明滅している。
星の方もあからさまな干渉に気づき、即刻排除を選んだようだ。
「──つまり、アレの行きつく先は星々も想定していない場所ってことか? ふむ……今の状況から考えると──アリだな」
《旦那様、ご決断を。どうやら、下層の逸脱者たちを動かし始めています》
「目的は問題作の処理か……こいつらがあの転送陣と繋がっていて、それを倒し切らないとちゃんと消せないわけだ」
《ですので、私からご提案が》
どうやら『超越者』を含む面倒な人々が、無視した者たちも含めてここの処理に来ているようだが……『SEBAS』の案を聞くことで、回避できそうだと知る。
まあ、失敗しても俺の羞恥心が多少爆発するぐらいのこと。
犠牲は必要だと割り切り、スピーカーを取り出し声を発する。
「『──誘いに乗ろう、道を作れ!』」
すると、ピシリと一瞬動きを止めた魔物たちが、次の瞬間列を成して道を作る。
そして、彼ら自身は俺を強者たちから守るべく肉壁として立ち塞がっていく。
大型の魔物たちはそんなやり方で、小型の魔物は俺に追従する動きを見せる。
──まあ、原付を全力で飛ばしているのでリレー形式でやっているようだが。
「さーて、面白くなってきたな」
少々回り道になるだろうが、少なくとも今の少ない手札で百層突破よりは可能性はあるだろう──その先に何があろうとも、最後には地上へ辿り着いてみせる!
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