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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄実行 その28
しおりを挟む──『闘技領域』。
それはアイスプルにのみ存在する、決して人族が得をすることの無い領域。
たとえ内部でどんな固有種を屠ろうとも、彼らは決して遺製具を得ることができない。
また、同時にそれは星もまた得るはずの利が得られない仕組み。
固有種同士が殺し合い、高めるはずの■が決して変動しないのだから。
それでもアイスプルにおいて、ある過保護な兎は願った。
己に付き従う選択を取った者たちが、のびのびとしていられる場所を。
□ ◆ □ ◆ □
『────ッ!!』
周囲を着々と上書きしていく闘技領域。
その内部では、範囲が広がれば広がるほど魔法陣が展開されそこから魔物が出現──周囲の木々を破壊していた。
先ほどまで、この世界の意思である少女に見せていた自然セラピーとして使えそうな緑豊かな光景は、すでに環境破壊の影響を受け失われている。
「うん、とんでもないな……なあ、これってどう思う?」
『………………何も言うな』
アイスプルとここを繋げていることからお察しの通り、すでに回線は繋げてあった。
なので今回、彼らを愛する兎に現状を映像としてお届けしているのだが……。
「森の管理者であった風兎さんや、そんな森がここまで破壊し尽くされている現状に、何かご意見はございますか?」
『! そ、そうだ、これは災凶種が生み出した森なのだろう!? ならば、彼らは心を鬼にして仕方なく……致し方なくこのような行いをしていて──』
「災凶種ではあるが、生み出されている自然自体はまったく無害だぞ。そういうのも、俺が悪用しないように対策したみたいだな。ただ頑丈で耐久度が高い、それ以外は世界樹とほぼ同質……そもそもアレ、楽しんでるぞ」
『うぐっ……』
元森獣、現星獣として自然を大切にしてきた風兎だが、だからといって彼を慕う者たちが同じ志を抱いているわけではない。
彼らはもともと魔物で、風兎に守られてきたからこそ言うことに従っていた。
しかし現在、求められているのは暴れるための力──大義名分って、大事だよな。
「……まあ、なんだ。普段とは違う場所で、壊し……じゃなかった遊び甲斐のあるモノがこれでもかと用意されているんだ。多少盛り上がるのは分かっていたし、それくらいはいいんじゃないか?」
『ツクル……! …………っていや待て、それもこれもすべて貴様がこのような状況に置かれているせいではないか!』
「ははっ、バレたか。だが、俺としてもこれには意味があるんだ。多少は許してほしい」
結論から言おう、彼らの協力もあり大樹は数十分もしないうちに折れた。
それで得られたのは圧倒的な時間、そして彼らの戦闘データである。
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