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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄実行 その19
しおりを挟む機械仕掛けの武人、武蔵坊弁慶みたいな姿の『極逸』である【武芸王】、『武尽』。
肩書が盛りだくさんな彼との戦いは、まだ始まっていない。
改めて思い出すと、前に来た武闘世界からの武人も翼人族という特殊な種族だった。
もしかして、普人よりもそういった種族の方が『極逸』に向いているのでは?
「ほぉれ、そろそろ始めるぞ!」
「! ええ、よろしくお願いいたします」
「うむ、礼に始まり礼に終わる。これこそ武の競い合いよ!」
「ええ、部分的に肯定します。始まりに礼儀は必要です──しかし、少なくともこの場において、終わりとは生き残ること。そのためであれば、私は礼儀を捨てましょう」
背中から薙刀……のような超巨大な武器を取り出す『武尽』。
木の幹のように太い柄に、ギロチンのように厚く重々しい刃が付いている。
鋭さが求められる東洋版の薙刀とは違う、重さで断ち切る西洋版の薙刀だろうか。
まあ、武蔵坊弁慶が東洋の人とは言え、結局サイバーでメカチックな武人だしな。
「むぅ、仕方あるまいか。だが、相容れなかろうとせねばならぬのが使命! その命、奪わせてもらうぞ!」
「──バトルラーニング、偽・武神。そして武器は『星核の武玉』で“星変万還”を」
「おおっ、話には聞いていたが星具を個人で所有するか! いいぞ、それもぜひ我のコレクションに加えたい!」
「残念ですが、私のモノですので。まあそうですね、星敵として討滅されれば権利が移るかもしれませんね」
「……それはそれは、本気で討つ理由が増えてしまったわ」
本来であれば、星具は個人で所有できないので自動的に俺が何らかの理由で消滅すれば権限は星に戻る。
だが事情が絡み合い、星敵として俺が討たれればおそらくそれは正式な形で討伐者に与えられると思われる……【救星者】が星敵になるケースなど、レア過ぎて知らないが。
なお、本来星具は遺製具と違い一人一つしか持てないアイテムとのこと。
それが許されるのは、『騎士王』のような特殊な存在──あるいは【救星者】。
だからこそ、あの『騎士王』は俺が作った鑓を扱っているわけだ。
保有数に制限があるなら、そんなもの注文してこなかったに違いない。
閑話休題
偽・武神の戦闘プログラムが、振るわれた薙刀モドキを捌く。
形を変え、玉から武器となった宝珠が模るのは──刀。
もちろん、本来の俺が乱雑に刀を振り回せば強烈な一撃で折れてしまうかもしれない。
東洋の刀は斬ることを目的としており、西洋の剣に比べて重厚さに欠ける。
だが星具は基本、耐久度が無限だ。
そのうえで、最適な動きを結界越しに取れば──たとえ武闘世界の武人が相手でも、無傷で相手取ることができる。
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