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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄実行 その15

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 邪悪深殿 十層

 九層から穴の開いた十層への転移、裏技に近い方法で『闘仙』との決着から逃れることになった俺。

 おそらく、階層を抜けさえすれば追いかけてくることは無い。
 また、追いかけてきたとしても、俺を足止めする必要性は失われるはずだ。

「げふっ……何とか生き残ったな」

 星敵になった、だからといって俺にさしたる変化は無い。
 ただ一つあるとすれば、痛覚機能が緩和できなくなっている。

 これは本来の犯罪者などにも当て嵌まり、原人であっても一部の痛みを誤魔化すスキルなどが使えなくなる──まあ、これは相手が断罪系の職業やスキルを持つ場合だけど。

 星敵の場合、システムによる緩和の恩恵がほとんど失われる。
 嫌ならなるなの星敵、これまでとは少し立場が異なるのだ。

「痛み止めは……要らんか、よいしょっと」

 一撃を撃ち込まれた部分がズキズキと痛んでいたが、これは『闘仙』が俺の不死性を理解したうえで攻撃を行ったから。

 仙丹を残留するような形で送り込み、強制的な外部HP枠に仕立て上げたのだ。
 勝手に増えたものが勝手に減り、その分だけ痛みが発生するという悪辣なもの。

 その対策はシンプルに──自害だ。
 今の俺の蘇生方法は二パターンで、簡単に済む死亡後にすぐさま蘇生するというやり方では仙丹を取り除けない。

 ゆえに[メニュー]から自害機能を選択、アバターの再構築を実行する。
 本来ならペナルティを支払う必要があるのだが、そこは低スペックな体ゆえ無料。

 同時に『生者』が内包する無数の[称号]の効果が発動し、瞬間的に実行される。
 仙丹は体内から取り除かれ、そのうえでツクルのアバターは再構築された。

「よし……デスペナはゼロのままだな」

《星敵としての能力もまた、外部にあるため制限に引っかかることはございません。同時に、[称号]によるデスペナ緩和効果も機能しておりますので、問題ないかと》

「初心者が欲しいものなんだろうけど、手に入れるためには死に続けないといかんしな。無駄に時間を使うぐらいなら、それこそレベルを上げて強くなる方が早いか」

 先ほどまでと違い、余裕のある会話。
 次に目指すのは二十層……ではない。
 先ほど十層へ向かったのは、星々の刺客が訪れたことによる変化を確認するため。

「だからこそ、セーブしておいたわけなんだし。『SEBAS』、設定の書き換えは済んでいるか?」

《はい。完全にとはいきませんでしたが、この場の陣を用いれば可能です》

「それじゃあ、次に行きますか」

 用いるのは守護者が居なくなることで現れる二つの転送陣、その一つ。
 片方が十一層へ、もう片方は一層へと向かうためのものだ。

 俺は一層へ向かうための転送陣を選択、アイテムを握り締め転送時の体が浮く感覚に包まれるのだった。

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