虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄実行 その12

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 邪悪深殿 九層

 ──“地裂開闢”。

 こちらの技を無効化し、そのうえで見せられた──否、魅せられた至高の一撃。
 迷宮の床すらも破壊する強烈な一撃は、俺と『闘仙』を下の階層へと誘った。

「バトル物でよくあるインフレみたいですねちくしょう!」

 今この場で見せたのは、単純に模倣がすぐにはできないと理解しているからだろう。
 何度か仙術(物理)を模倣するとき、傾向などはおそらく読まれている。

 宙に浮き、九層の床に向かって落下する間も解析自体は続けていた。
 だが分かるのは複雑な術理──ただ動きを真似るだけでは、模倣できない技巧。

「どうした、来ないのか?」

「……普通の人族である私には、宙で自由に動くことなんてできませんので」

「問題無いだろう、お前は普通じゃない」

「酷い言い方です、まったく」

 何のスキルか仙術か、何もない場所に浮かぶ『闘仙』に苦言を申し立てる。
 それでも『星水の足袋』の能力を起動、何もない場所に力場を生み出し足場とした。

 すると、ほれ見たことかという顔をしてくる『闘仙』、ある意味俺を信頼しているのだろう……今だけは非常に厄介だが。

「しかし、迷宮を壊すとはとんでもない一撃でしたね……これ、大丈夫なので?」

「さてな、少なくともこれぐらいやらねば、『生者』は倒せないだろう」

「生きるか死ぬか、ではなく倒せるかどうかであればそうですね。せっかく場所も変わりましたし、心機一転戦い方も変えてやっていきますよ──“星気弾”!」

 武器の星具『星核の武玉』から、星のエネルギーを弾丸として射出する。
 無論、これで仕留められるとは思ってはいない──『闘仙』はすぐさま動き出した。

「この場所では、あまり仙術は使えないな」

「自業自得では?」

「あまり、だからな。地に足を着けていなければ戦えないというのは、仙人として至らぬものだからな──ゆえにこうする」

「ッ、瓦礫を!?」

 宙を蹴って駆ける『闘仙』は、地面に落下していた瓦礫を次々と蹴り上げていく。
 仙術が何か籠められているのか、蹴られた瓦礫はそのままの場所に残されていた。

「一度切りとなってしまうが、無くなる前に終わらせれば良いだけの話──“天閃腕”」

「くっ──“天閃腕”!」

 瓦礫を踏んだ衝撃を用いた、腕を払うことで生じる斬撃。
 何もない場所に居る俺は、アイテムから供給される仙丹のみでそれに対抗する。

 それだけでも差は生じているが、そもそもの練度が圧倒的に違う。
 こちらの“天閃腕”は一瞬で消し飛び、俺の体は九層に弾き飛ばされた。

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