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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄実行 その06

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 俺、というか『SEBAS』が頑張ってくれたお陰で権能の分離に成功した。
 今、俺の掌の上には冒険世界の『超越者』の証、『生者』が宿っている。

「器には遺製具を用いてみました。まあ、こうでもしないと収まりはしませんでしたので仕方ありません」

「……おかしいですわね。遺製具ともなれば本来、相応のリソースですでにいっぱいのはずですけど」

「それ専用の遺製具、とも言えるような代物ですので。器を外部から補充し、満たすための……オリジナルの遺製具です」

「! そう、そこまで禁忌に……」

 人造の固有種は、各星々でも表向き禁止されている存在。
 だがアイスプルは俺の保有する世界だし、『SEBAS』が許可を取ってくれたそう。

 そのため、人造固有種を何体も増やしその再生個体も生み出していた。
 コスト的に十やら百やらは無理なのだが、複数個の確保ぐらいはできている。

「この状態でも、『生者』の権能は機能していますね。感覚的には、『プログレス』の装備タイプでしょうか? 権能の外付け、だからこそ十全とは言えない状態にある」

「そうですわね、私も切り離しておりますが媒介を通じている分、本来の性能を出し切れているとは言い切れませんわね。でも、出力は足りなければ増やせばいい、そうは思いませんの?」

「──ええ、やってみます」

 今の俺が死に戻ったとして、再復活自体はまあ即座にできるだろう。
 だが[称号]の切り替えや強化などは、部分的に制限が掛かっているはず。

 それらを補うべく、星敵として得られるリソースを使う。
 ──俺は星敵と名乗れる状態だったが、実際に星敵だったわけではない。

 分かりやすく、見たまんまを語るのであれば[メニュー]画面に星敵に就任するかどうかの選択画面が表示されている。

 今まで灰色で選択不可能だった[YES]が、今は押せることを示すべく光っている。
 ただそれは白い光では無く、少々禍々しい仄暗い感じで。

「ポチっとな」

 それでも俺が迷うことは無い。
 迷った末に今があるのだ、今更考えている暇など無いのだ。

 ボタンを押した途端、周囲の空気が大きく歪んだ──気がする。
 俺自身は立ち眩みを覚え、思わずそのまま床に崩れ落ちてしまう。

「──そのままでいいですわよ。私の時も似たような感覚に陥りましたわ。それは最適化の証、意識を取り戻したときには名実ともに星敵ですわ」

 返事をする余裕も無く、首も動かせないまま俺の意識は沈んでいく。
 だがそれでも、重たくなっていく思考で思念を──相棒に言葉を伝える。

(『SEBAS』、任せたぞ)

《──畏まりました、旦那様》

 いつも通り、安心できる言葉を聞き──俺の意識は完全に途切れた。

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