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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄実行 その03

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 隔離された空間で、現状について少女へ説明を行っている。
 言えば言うほど、自分が窮地にあると理解するのだが……それでも策は講じていた。

「──『マイルーム』、“アナザードア”。この空間は『プログレス』を基礎として構築してある場所だ。魔石を投入すれば設備を強化できるし、複数の場所に入室用のアンカーを設置することができる」

「つまり、この場所に何かあればすぐに戻るということでしょうか?」

「そうだな。そして、これを『SEBAS』がこの迷宮自体と紐づけしてくれてある。これがある限り、お前さんが迷宮の外に行ってもそれは契約違反にはならないらしい」

「それは……」

 理屈はよく分からんが、そういうことになると『SEBAS』は教えてくれた。
 彼女を縛る星との契約──星約を違えぬ形で、上手く外に連れ出さねばならない。

 問題は形式上の星約をごまかせても、直接その行いを観測されると危うい点。
 ……要するに、代行者が代わって断罪する分には、本来のまま果たされてしまうのだ。

「本当はシステムの掌握を万全に済ませ、直接外部へのドアを作ってからにするつもりでいたんだが……混沌の使徒の企みであえなく失敗したからな」

「あぅ……すみません」

「いや、お前さんのせいじゃないからな。あといちおう、立場的に脱獄は手伝っちゃいけない方な気がする」

 行ったことも無い場所にドアを設置することはできないが、そこは代理を用意することで済ませるつもりだった──しかしそれも、今では無意味に。

 おそらくこの先、星敵たちの監獄に向けて『超越者』などの集団が赴くだろう。
 兄を救うために6層を目指すでもなく、今回の問題を収束させるためにだ。

「多分、このままだと俺は脱出不可能な状態になるまでとことん封印されるんだろうな。スキルとか権能とか、使えなくするのっていちおうできるみたいだし」

「! それは危ないです! 星敵の皆さんだけでなく、上には間違いなく──!」

「だよな……でも、ある意味星敵として討伐するっていうなら最適なんだよ。まっ、何でもやるだけやってみてからだ。ダメなら諦めてまた待つさ」

 俺に『生者』の権能をくれたのは、今は失名神話となっている神話の死神様だ。
 だがその権能自体は、彼の御方が冒険世界から何らかの伝手で手に入れたもの。

 アイスプルに独自の権能は無いので、少なくとも今は手放すつもりはない。
 だからこそ抵抗するつもりではいるが、相手が『騎士王』とかだと……うん、地獄。

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