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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄実行 その01
しおりを挟む──混沌の使徒による『邪悪深殿』簒奪未遂より、数日が……経っていない。
また、この行いにより何か特別なことが起きたということも無かった。
そう、この出来事を星々は知らない。
念入りなまでに混沌の使徒が、そしてある脱獄計画者が外部にその情報が漏れないよう細工を行っていたからだ。
彼らに協力する意図はなく、むしろ互いを邪魔だとすら思っている。
それでも外部の干渉が邪魔、阻害する必要があるという考えだけは共通のものだった。
ゆえにこの出来事は外部に漏れることなく済まされ、混沌の使徒の企てもある脱獄計画者の脱獄も滞りなく次の段階へ移行する──はずだったのだ。
「くそっ、何なんだよあのバグ! アバターの操作権限が無い? 自分の垢動かせないでどうやってゲームすんだよ!!」
ある男はそう叫び憤っている。
EHOというVRMMOをプレイし、誰も知らない場所を開拓してちやほやされたい、そう考えた果てに彼は監獄に収容された。
だがその途中、『霧疫』と名乗る男に出会い──アバターを奪われる。
結果、通常より長い期間のデスペナが彼を彼の世界から追放した。
「ざっけんな! ……まあでも、[掲示板]に上げれば話題は総取りだな、こんなの聞いたことねぇし」
そうして電脳世界に送られた情報。
それは一つだけでなく、同様の話が何件も出ることで信憑性を得た──その話を見た一部の者たちは、それを内部の世界へ届ける。
つまり、本来知り得ることの無い情報を、知り得た者たちが居るということ。
それがどういった結果をもたらすのか──今は定かではない。
◆ □ ◆ □ ◆
迷宮『邪悪深殿』 ???
迷宮の最奥に囚われていた少女──滅亡世界の星の意思を連れ、転移した場所。
それは『SEBAS』が迷宮に手を入れ、こっそり作った小さな領域。
「……こんな場所、知りません」
「【救星者】だからな、権限だけならどうとでもなったぞ」
「ほへぇ、凄いんですね【救星者】様は」
「まあ、俺も【救星者】様のお陰で無職からは脱せられたよ」
いろいろと仕掛けも講じてくれてあるようなので、一先ずのセーフティゾーンとしては機能するだろう。
少女を外に連れ出す、その方がいいと俺は考えた。
アイスプルに連れ出すかはちょっと微妙だが、少なくとも迷宮からは出してやりたい。
「先に言っておくぞ、もう地上に過去の文明はほとんど残っていない。黒い靄と他者に寄生する小粒みたいな生命体、それしかこの世界に適応した存在は居なかった」
「……はい、分かっています。それはこの体になる前に、他の星々が教えてくれました」
「それでも俺はお前を連れていく、嫌なら嫌と言えばいい。その時は……まあ、ある程度望んだとおりにしてやるさ」
アイスプルほどはできないが、テラフォーミングも今ならばできる。
再生ならぬ再星も、【救星者】となった今ならば容易くできるだろうな。
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