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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄開始 その30
しおりを挟む奥の手だったあるアイテムを使い、固有種たちの能力を行使した俺。
そして、壁抜けを行い塔の最上層へ外壁から直接入り込んだ。
「──まったく、探したんだぞ。約束、果たしに来たぞ」
「…………ぁぁ」
塔の中には前回訪れたとき、最深部にあった迷宮の核が。
──その内部に埋め込まれるように、少女もまたこの場に居た。
創作物でもよくある、生贄みたいな状態。
それも普通な感じではなく、塔から伸びる不気味な触手やら肉塊に覆われているタイプのヤバいヤツだ。
「約束……殺してくれるんですか?」
「……それじゃないぞ」
「ですが、今のわたしには何をすることもできません。異界の、神域外の神々の手によりこうしてこの場を、迷宮そのものを、そして星を操るための道具に成り果てました」
「だから殺せってか…………本当にバカだ、大バカだぞお前」
「なっ!?」
近づこうとする俺を阻むように、無数の触手や肉塊が俺を襲う。
だが彼女を視認した今、加減をする必要は失われた。
「──『成仏の燐光』」
聖なる光がこの場を包み込む。
死の因果を物質化する『死天』の能力で生成された、浄化時に作られるこのアイテム。
混沌の異形たちはアンデッドではないが、真っ当な生物というわけでもない。
それをあるべき形へと戻したとき、狂った体は原型を維持できず崩壊していく。
少女や迷宮核に纏わりついていた異形もまた、その光を浴びて空に昇っていく。
残されたのは俺と少女、そして迷宮核──塔もまた、内部から浄化され消えつつある。
「っと、脱出しないと不味いな……この核、このままで大丈夫なのか?」
「あっ、はい──よいしょ! こんな風に捕まりさえしなければ、ある程度場所は動かせますので!」
「……あーうん、そうか」
移動、というか転移してこの場から先んじて脱出したのは核のみ。
俺と少女はこの場に残され、足元がぐらつくのを体感している。
「それで、その……約束とは? わたしを、殺しに来てくれたわけでは、なかったとのことですが」
「逆だよ逆、救いに来たんだ。準備は万全に整えた、今回のイレギュラーもある意味好都合かもしれない。これだけいろいろとあったからこそ、できたこともあるからな」
「?」
「あー、なんだ。この迷宮も、星も、危なくはならなくするつもりだ。だから、ちょっとだけ外の世界を見に行かないか?」
「外……見たいです!」
その瞬間、塔は内部がすべて浄化され俺たちの足場も消え失せた。
創作物のようには上手くいかない、足場も残らず一気に真っ逆さま。
分かっていたので重力装置を起動し、少しだけ時間を稼ぐ。
──そしてそのまま、俺たちは星敵と合流することなくある場所へ向かうのだった。
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