上 下
117 / 2,721
DIY、冒険を求める

貢献イベント その16

しおりを挟む


「ここだ」

「うぉおお!」

 年甲斐もなくはしゃいでしまったが、今回ばかりは反論できない。

 ──なぜなら、夢のように望んでいた光景が目の前に広がっていたからだ。

 とても逞しい木々の上に家々が並び立つ、現実ではありえない幻想的な風景。
 太い枝が木々を繋ぐ橋となり、人々はその上を渡って生活を行う。

 そして、そこに居る人々はすべて──耳が少し尖がっていた。

「オレたちの隠れ里だ。余所者を入れること自体は禁止されていないが、そもそも案内したいという意思が無ければ、霧の中で追い出すことができるから警備は薄い」

「なるほど……そういうことであれば、本来私は追い出されていた、ということですか」

「フリュが考えを改めていたからな。弱いのに強い、普通ではありえない存在がここに来て何をしたいのか……あとでぜひ教えてほしいものだ」

「はい、そうします」

 そう、この地はエルフの住まう場所だ。
 程好く光が木々の隙間から差し込み、とても写真映えのするでもある。
 そのせいで、SS機能スクリーンショットをずっと使用しなければいけないよ。

 ……って、そこはどうでもいいか。
 ここならばプレイヤーもそう簡単には近づけないだろう、と思って来たのだ。

 すでに座標自体は上空からの撮影で把握していたのだが、霧に何か特別な仕掛けがあると思い、自分の足で行くことを決めていた。
 だからあの男に会った際、普通に会話でここに来れるかを交渉しようと思っていたんだが……いろいろとあったな。

『キキィエ!』

「おっと、そろそろオレは行くぞ。だがお前はまず、里長の場所に行くべきだ」

「里長ですか……その方はどちらに?」

「あそこの一番高い木にいる。下の根の辺りに居る奴に話をつければ、お前でもすぐに会えると思うぞ」

 指で示された場所には、たしかにこの里で一番大きな木がそびえ立っていた。

「わざわざすいませんね。次会った時には、フリュ君に食べ物でも作りましょうか」

『キィエエエ♪』

「嬉しそうだな。……言っておくが、フリュは雌だぞ」

 そう言って、男は自分の家へと去った。

 えっ? そうだったのか?
 鳥の雄雌は、種類によって見分け方が違うとかそういう話もあるが……いくらなんでもファンタジー系の鳥の見分け方は知らないしネットにもない。

 いつかゲームでも、よくある動植物図鑑的な物を作ってみたいな。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 さて、男の言う通りに行動をすると、本当に里長に接触できた。
 目の前には超絶カッコイイエルフがおり、ちょうど今、話をしていた。

「久しぶりの客人だが、君のような者はなかなかいなかったよ。頼み事、だったね?」

「はい。しばらくの間この地で体を休めたいのですが、何もしないというのも……その、落ち着かないので」

「……そうか。客人の願いだ、可能な限り探してみるが……どんなことでも良いのか?」

「えぇ。手段を選ばなければ・・・・・・・・・、大抵のことはこなせますので」

「では一つ、客人を試しても良いかね?」

 すると、目の前にいつものアレが──。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

処理中です...