虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
113 / 3,138
DIY、冒険を求める

貢献イベント その12

しおりを挟む


「……いやいや、なんだよこれ」

 耳をつんざくような甲高い声が聞こえたと思いきや、体に角……というか鏃が刺さっているというこの展開。

 たしかにな、主人公が油断した瞬間に体に凶器が刺さってるってのは王道な気もするけどさ、アレってそれでも助かるはずだろう。

 ──なのに俺、あっさり死にました。

 まあ、レーダーの警鐘に気づかずに景色を見ていた俺も悪いんだけどさ。

『キィアアアアアアアアア!!』

 未だにその声はどこからかとどろき、俺の鼓膜に定期的なダメージを与えて俺を殺す。
 そのことに少しだけ顔をしかめつつも、少しずつ発生源へと進んでいく。



『キィアアアアアアアアア!!』

 煩い音に慣れていき、今ではまるでそんな音なんて存在しないかのように振る舞える。
 歩いていった先では、一体の魔物と人が揉めている光景を観ることができた。

 とある狩りゲーに出てくる丸い鳥みたいな魔物で、今も上を向いて叫び続けている。

「こら! フリュ! 大人しく、しろ!」

『キィアアアアアアアアア!!』

「ああ、もう! アイツはもう死んだ! だからもう静かにしてくれよ!」

『キィアアアアアアアアア!!』

 ……うん、だいたいの事情は分かった。
 要するに、魔物が俺に対して警戒しているのだろう。

 普通の魔物は俺を警戒しないだろうが、目の前にいる魔物は多分、俺のイメージする鳥と同じような奴だと思われる。
 相当に警戒心が強いんじゃないか?

 そんな鳥は俺の気配に気づいていて、自分の主を守るべく行動するように促している。


 おお、実に勤勉な鳥だ。
 主のためにその身を犠牲にしてでも、と叫び、俺からの注意を惹きつけ、主が俺を再発見しても気づけるようにしている。

 おお、なんと怠惰な鳥だ。
 主を守りたいというのならば、ただ叫ぶだけでなく足でも羽でも動かして、異常な事態であると伝えればよいだろうに。


 別に鳥を殺す気はないし、その主に危害を
加えるつもりもない。
 だが、いつまでも騒がしいのも景観に合わないからな。

「──とりあえず、お二人には静かにしてもらいましょうか」

『キィエア!?』

「んな、馬鹿な! ……なんで!?」

「では、貴方にはこれを」

 口を開けて仰天している一頭と一人。
 その隙に、鳥の口の中へ丸薬のような物をポイッと投げる。

『キ、キィェ……Zzz』

「フリュ!? おい、お前! フリュにいったい何をしたんだ!」

「睡眠薬ですよ。この専用の薬で無いと目が覚めることは……って、おっと!」

「それを寄越せ!」

 ちなみにだが、ソイツは男だ。
 ──ただ少し、耳が尖がっている男だ。

 たしか……EHOでは妖精族の一種になっていたな。
 そんなエルフ(仮)の男は弓を構え、何度も何度も矢を射っていく。

 うーん、話し合いはできるのかな?

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

処理中です...