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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄開始 その22
しおりを挟む邪悪深殿 五十層(?)
メカトラの力で強引に道を造り、最奥へと向かう俺と協力してくれる星敵たち。
だがそこに広がっているのは、果てしない混沌であった。
「これは……禍々しいですね」
すでに先んじて入っていた魔物タイプの星敵集団が、戦闘を繰り広げている。
混沌の軍勢、法則性を有さない歪な怪物たちが至る所から現れていた。
一体一体の戦闘力は星敵に遠く及ばない。
だがそれが複数束になることで、彼らを長くその場に留まらせていた。
「──『フラッグフラグ』」
起動中の『プログレス』の名を再び呼び、より強い支援効果をこの場にもたらす。
それは五十層での戦い同様、星敵たちは慣れ始めた強化後の体に合わせて蹂躙を行う。
「雑魚はこれで簡単に倒せるようになりましたが……問題は、この先ですね」
ドローンは更に奥へ進ん……でいない。
最奥へ向かう道の途中、強力な結界によって移動を阻まれていた。
そしてそれを守るヤバそうな個体。
奥に行けば行くほど、星敵でも苦労しそうな厄介な──星敵の残滓、再現体が混沌の軍勢に混ざっていた。
《──旦那様》
(『SEBAS』か……どうだった?)
《旦那様の予測通り、複数の星へアクセスして災凶種の情報を奪取。それらを利用し、迷宮に集められたリソースと混沌を以って復活させているようです》
(…………最悪の展開だな、マジで)
神持祈祷で発動していた『プログレス:セバスチャン』。
その効果で強化されていた『SEBAS』が入手してきた、最悪の状況。
混沌の使徒が確実に手を出してきているので、念には念を入れていたわけだ。
結果、バレずに向こうの手の内をほんの少しだけ暴くことができた。
「『修羅』さん、皆さんに伝達を」
「何をだ?」
「この先、災凶種の再現体が混沌に覆われた状態で複数体現れます」
「! すぐに伝えよう」
元アトランティス世界出身だからか、やたらと機械の操作が上手い『修羅』。
なので彼には権能持ち用の『プログレス』で、周囲への連絡を任せている。
本当なら情報屋辺りに頼みたかったが、彼はこの場には居ない。
彼にも彼なりの目的がある、敵対していないことだけでも感謝しておこう。
「伝えてきたぞ。それで、どうするんだ?」
「結局のところ、我々には力でごり押しする以外の選択肢はございません。支援の方は続けますが、“スイングスパイヤー”の効果の方は切れますね。それでも、集団で挑めばどうにかなるでしょう」
「だが、犠牲は……ああ、そうだったな」
「ええ、その辺はどうとでもなります。私は『生者』、そして最高峰の職人です」
意味も無く指の間に挟む試験管。
そこにはそんな遊びに使ってはいけない、最高級のポーションが入っていた。
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