虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄開始 その11

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 なんだか現実方面の、それこそ精神保護系のことについて考えてしまう。
 仮初の器だからこそ、本物を使う精神関係は念入りに守られているのだ。

「…………変化は無いものだな」

 あっさりと、何もない日々は経過する。
 つまりは数日後、いつもと同じように休人たちに行動の一つひとつを見張られながら俺は街を歩いていた。

 彼らはたまに星敵たちに混ざり、俺の作る料理を頬張っていたりする。
 だからだろうか、[掲示板]でのその情報は誤情報が多く混ざっていた。

「……美味しいけどバフ効果が低い。まあ、一部はそうだけども」

 安いメニューに関しては、相応に得られるバフの効果を落としてある。
 彼の休人もあえて、その情報のみを選んで提出したのだろう……許可を求めてきたし。

 だが実際には、安い物と高い物とでバフの量に違いが存在する。
 最初の頃は安い物しか頼めなかった休人たちも、だんだん高い物に手を出していた。

 聞いた話によると、料理バフ込みでようやくギリギリ戦闘ができるとのこと。
 ……迷宮の話ではない、それは星敵たちとの戦闘についてだ。 

 どうやらある程度仲良くなると、戦ってくれるようになるのだとか。
 まあ、当人たちがそう思っているだけで、実際にどう思われているかは別として。

 数人、あるいは数十人で挑み──いつも敗北している休人たち。
 だがダメージを与えると、何かしらの報酬が得られるのだとか。

 魔物の星敵であれば素材を、人の星敵であれば当人に関する能力の一部を。
 後者はかなり難易度が高いらしく、基本的には魔物の星敵に集中しているようだが。

「生え代わりとか、そういう時期的なものでくれているだけだろうな…………俺はもう、いろいろと貰ったからいいけど」

 最初の頃はこの監獄特有の金も集まっておらず、物々交換を仕掛ける魔物が多かった。
 そして、物も無い中で差し出せるものとなれば限られてくるわけで──

 食べ物に釣られた魔物の星敵たちは、自らのレア素材を俺に押し付けてきた。
 俺も俺で一種類ずつは欲しかったので、それを快諾して食べ物を渡していたものだ。

「まあ、一日数個限定とかそういうことをしてたら、逆鱗とか貰っちゃったけど……若干の罪悪感があったな」

 そういう弱点っぽい場所も、採取できるし時間経過で再生することは知っていた。
 同じようなことを、俺はアイスプルで常に経験しているからな。

 今はそうして得たアイテムを、複製することで恒常的に得られるようにした。
 彼らと需要が被ることはない……が、それはそれで問題があるのだよな。

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