虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄開始 その10

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 星敵という最高峰の戦力が挑んでも、未だに攻略が終わらない(推定)100層の難関迷宮『邪悪深殿』。

 俺と『SEBAS』は、もし普通の手段で挑み続けても終わりが無い──つまりループ式のエンドコンテンツみたいな仕掛けがあるのでは、と予測していた。

「だからこそ一刻も早く、あの子と再会する必要があるんだが…………現実は残酷だな」

 攻略は星敵たちが勝手にやっているし、深層(仮)へのアプローチは情報屋が信用できる相手に試してもらっているらしい……つまり、俺個人でやる必要がまったく無い。

 もちろん、俺自身が打って出てそれらに参加するという手も無いわけじゃないのだが、後者はともかく前者の方は休人たちも徒党を組んで行っているからな。

 固有種なども放逐されている関係で、当然倒せば誰であろうと力を得られる。
 人種であれば遺製具、魔物の星敵であってもリソースの増量などが見込めるのだ。

「まさに星からの試練、倒せば報酬を得られるって意味じゃ星敵と同じだしな。今は集団で行かないと全滅する休人組だけど、そのうちソロ攻略を目指す奴なんかも出てくるかもしれないな」

 死んで覚えて、それを繰り返すことができるのが休人の最大の特徴だ。
 蘇生薬でこちらの人々もできなくもないのだが、一番の違いはやはり死への忌避感。

 いかに生き返れる、といっても死そのものは一瞬だろうと自分を支配するものだ。
 原人たちの中には、それを受け入れられず蘇生後にトラウマを覚えてしまう者がいる。

 だが、対して休人はゲームという認識が強く、この世界での死が現実での死ではないことを知っている──またシステムによる精神ダメージの緩和が、忌避感を和らげていた。

 ある意味、倫理観の枷が外れている狂った化け物──休人の中には、そう捉えられてもおかしくはないスタイルで活動をしている者たちが居る……ストレス発散かもな。

「さすがにそれは、『プログレス』でも再現できなかったからな。[メニュー]と違ってどちらかといえば、VR機器本体に備わっている機構だし」

 緊急時における強制的な[ログアウト]然り、ゲーム内での強い影響を現実に持ち出さないように対策がしっかり講じられており、EHOにもそれはきちんと機能している。

 うちの子供たちもやっているように、年齢制限が低いので対策の方も念入りだ。
 俺がだいぶ前、G……名前も言いたくないアイツに遭遇した時の視覚情報緩和もそう。

 俺は自前というか『SEBAS』がやってくれたが、本来であれば設定を組み込み忌避する生物が現れたらぬいぐるみみたくデフォルメしたり、似た何かにしてくれる。

 そうして脳への深刻なダメージを和らげ、強制的に[ログアウト]するような事態を可能な限り減らしているのだ──そういうことが続くと、会社の方も責められるからな。

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