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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄開始 その06
しおりを挟む便利過ぎる[メニュー]系統のシステムについて、情報屋と話した。
なお、『プログレス』自体の使い手はまったく増えていない様子(例外一人除く)。
「『プログレス』の売れ行き自体は良いようで何よりです。そういえば、[ステータス]のご利用はどうなっていますか?」
「情報開示か。使ってはいるだろうが、わざわざ話す奴は居ない」
「そうですか……それは、残念です」
かつて、『超越者』たちにも配った簡易版の『プログレス』。
そちらと同様、それらの『プログレス』には俺から干渉することができない。
正しくは、そうせざるを得なかった。
星敵もまた可能性の怪物、少しでも綻びを作ってしまえばそこを突き、『プログレス』のシステムそのものを乱す可能性がある。
だが隠しておいても、俺自身は彼らの情報が欲しいのだ。
特に[メニュー]をほぼ完璧に再現しているからか、開示される情報はかなり多い。
たとえ本人が知らない情報であろうと、世界中の誰もが把握していないようなものでも[ステータス]はそれを正しく書き記す……そこだけ聞くと怪しさ満載なのだが。
俺はそういうのを全然気にしないタイプだし、他人の情報を得る分には便利だと思うのでむしろ積極的に使わせたい……が、教えてくれるかはまた別の問題だからな。
「報酬が安過ぎましたか。蘇生薬やら万能薬で釣れるほど、皆さんの秘密は得難いものというわけですね」
「……一部、苦渋を浮かべていたがな」
「おっと、それは残念でした。そのまま売っていただいていれば、こちらは出来得る限りの奉仕をする予定でしたのに」
「それも含め、苦渋の決断だったわけだ」
料理だけでなく、日々の生活に人間の惰性の限りを尽くしたグッズを付けようと思っていたのだが……くっ、残念だ。
人をダメにするソファが昔、日本でも流行りになっていたからな。
その超強化版、人をスライムにするベッドの出番はいつになるのやら。
「──それで、もういいだろうか?」
「……ええ、本題を話しましょうか」
「ああ」
情報屋とはやり取りを続けていた。
そんな中、彼が大変興味を抱いたらしいものが一つ。
「すでに何度か、お前のやり方を真似て星敵たちを向かわせているが、誰一人として辿り着けてはいない」
「ああー、やっぱりそうなりますよね。条件の有無、という意味では正しいでしょう。認められる、今はその過程が必要ですので」
「…………」
「まあ、私も入れてもらえませんがね!」
──『邪悪深殿』、その最奥の守護者。
彼女のことを深く知ろうとする情報屋に、俺は思わず「……ロリコン」と呟いてしまったのはつい最近の話。
まあ全力で否定されたが、その事情については聞かされていない。
彼が収容された理由にも繋がるだろうし、そう簡単には話してくれないだろう。
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