虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄開始 その05

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 星層監極 街(仮)

 俺というかツクルの行動が、逐一把握され情報に価値があるという腐った世の中。
 悪いのはすべて権力者……もといジンリのせいだと改めて認識した。

「──繁盛しているようで何より」

「……お前か」

 街の一画、ひっそりと営まれている人形によるお店。
 日によってその内容は変わるのだが、時折訪れる一人の星敵。

 それこそが情報屋、あらゆる収容者と接して情報を集める彼。
 俺もまた彼に依頼を行い、様々な情報を得ていた。

「最近は、休人の方々にもよくご利用されているようで。どういった内容なので?」

「分かっているだろう、わざわざ聞く必要があるとは思えない」

「……まあ、でしょうね」

 俺と情報屋が同時に見るのは、こちらの視線に合わせてニッコリと微笑む人形。
 普通に商業用としての機能だけでなく、諜報員としての機構もいくつかある。

 なので休人が店に来て、情報屋から情報を得る際は自動的に人形も情報を得ていた。
 ……星敵が客人の場合は、人形の居ない別室にご案内したうえでやり取りをしている。

 あくまでも、客に合わせた適切な対応をしているに過ぎない。
 誠意さえ見せてくれれば、別室に通すよう指示はしてあるんだがな。

「彼らが私のことだけでなく、街の外の情報も集めてくれているようで。その問いに、欠けることのない情報を出している情報屋の貴方には、感服しております」

「……不要だ」

「さて、私が渡した品々もそれなりにご利用いただけているようで……あっ、使用分を補充してください」

「…………受け取ろう」

 俺が依頼を円滑に進めてもらうため、渡した三つのアイテム。
 まず蘇生薬と万能薬、ただしこれら二つは一定期間で自動的に消失する仕掛け付き。

 なので温存はできず、ある程度量が減ったり期間が近くなればこうして俺が顔を出してアイテムの補充を行っている。

 そして、もう一つ──

「『プログレス』の方ですが、経過の方はいかがでしょうか?」

「変わらんな。例外は一つのみ」

「……あの方は、特殊ですからね」

 先日顔を合わせた【傾界魔王】。
 彼女は星敵としての能力を、外付けにしているため『プログレス』の使用条件である権能枠の空白を満たしていた。

 だがそれは特殊なケース。
 普通は『星敵=権能持ち』であり、権能を持つ限り『プログレス』は使えない……つまり『星敵≠プログレス』となるはずだった。

「簡易版は重宝されているようだ。情報通信だけでなく、地図や時計……おまけに空間収納まで。星渡りの民は理不尽な力を持っているようだ」

「あはは、お褒めいただき光栄です」

 絶対皮肉だろうが、こう言うしかない。
 ヌルゲーという感じなのだろうが、こういう配慮が無いと初心者はEHOを始めづらくなるからな。

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