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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄開始 その02
しおりを挟む休人たちを隔離したり、星敵たちを料理で鎮圧したり、混沌の使徒を般若心経を流し続けることで抑え込んだり……まあ、いろいろとやっていた。
だが、問題が無いとフラグっぽいことを話していたタイミングで、どこかで何かが爆発する音が。
「──それで、いったい何があったので?」
「……ああ、『生者』か。見ての通り、いつものことだ」
「…………ハァ、まあ仕方ありませんか」
休人たちは可能な限り隔離しているが、それも完全ではない。
彼ら用として居住区域、というか簡易的な[ログアウト]場所は用意した。
その区域から外に出れる通路を造り、逆に街へ入るのは困難としてあるのだが……普通に街へ来たり、外からグルっと回って入ろうとする連中が時々現れる。
彼らのその挑戦自体は、ある意味で強力な『プログレス』誕生に繋がるかもしれないので別に構いはしないのだが……必ずと言っていいほどに、何かをやらかすのだ。
そもそもここに来るような犯罪者に、そこまで期待してはいけない。
窃盗ぐらいならともかく、何を血迷うのか女性(の姿の)星敵を襲おうとしたりする。
…………だいたい一回やれば、もう二度とやらなくなるぐらいにお仕置きされるが、それは一人に付き一回は起きるイベント──つまりキリが無いのだ。
どうやら休人たち、自分が受けた仕打ちを他の人にも味わってほしいらしく──あえて情報を一部隠すことで、誘導している節がある……俺もそこはあえて口を出さない。
「それで、今回は何が? まさか、あの方に手を出すなんて蛮行を……」
「……そのまさかだ」
「…………勇者ですね、とびっきりの」
「ああ、これが伝承に聞く【蛮勇者】というものなのか」
すでに休人の姿は無く、死に戻りしてどこかへ消えている。
残滓というか粒子すら消し去られ、そこに残るのは被害者というか殺人者というか。
だが誰も咎めない──罪の有無というよりも、この街の最大戦力に抗えず。
ゴシックロリータ系の服を身に纏う、とても儚げな顔立ちの少女。
その手には宝石型の装置を埋め込み、何やら興味深そうに──あっ、こっち見た。
「──」
「ッ、逃げるの早っ!」
隣に居た星敵が速攻で逃げ出す。
俺も同じことを……なんて思っても、もしやったとして俺だけは逃がしてもらえないんだろうなと遠い目をする。
「あら、どうされましたの急に黄昏て?」
「いえ、世の理不尽さを嘆いていました」
「そう? まあ、それも仕方がございませんわね。彼らは知らなかった、それだけです」
「…………ええ、そうですね」
俺が休人のことを言っていると思っているのか、あえてそう言っているのかはともかくとして、彼女──【傾界魔王】の吸血姫は薄く微笑む。
なお、この街には彼女に匹敵する星敵が何人かいる……改めて、ヤバいんだな星敵ってと遠い目になるのだった。
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