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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄開始 その01
しおりを挟む街(仮)
迷宮の最奥に居た少女、その正体は星の意志そのもの。
収容される前、邂逅した【星賢者】と同等あるいはそれ以上の存在だ。
あの時、彼女は自らが監獄を造り上げる代行者であると告げていた。
──そして同時に、この星の意思はすでに絶えていたとも。
絶えていた、つまり失われた。
だが彼女が代行者であり、あの場所に少女が居たことで考えは変わった──新たな管理者を他の星々は生み出したのだ。
それこそがあの場所の少女。
滅亡世界と化したことで絶えたのか、あるいは絶えたからこそ滅亡世界となったのか、どちらか分からない星の意志。
他の星々はそんな失われた意思の残滓を掻き集め、収束させることで意思とした。
収束機構──つまり迷宮を築き、散りばめられたパズルを完成させたのだ。
ただしそれは、継ぎ接ぎだらけ。
結果的に生まれたのが彼女、俺が出会った当初の状態だ…………『SEBAS』が何かしていなかったら、あのままだっただろう。
「ま、それが良かったのかは別として。さてと、やりますか」
あの後、俺はキザな台詞を言って普通に街へ帰還した。
……そりゃあいくら何でも、その日のうちに出れるわけないし。
あの少女を害するのであれば、幾ばくかの可能性はあったかもしれないけれど。
その選択を自ら拒んだ以上、時間は掛かるやり方しかない。
「何より、時間がな…………ちょっと時間を空けただけで、結構揉め事があったみたいだからなあ」
街へ戻ってきた俺に届いたのは、至る所で起きたトラブルの報告。
休人たちはもちろん、星敵や混沌の使徒が神殿で何やら企んでいたというものも。
それら全部の対処に追われ、すでに数日が経過している。
……俺が対処しなくても良かったのだが、それはそれで連中が調子に乗るからな。
「『SEBAS』、現状の報告を」
《休人たちは隔離に成功、星敵たちのトラブルは旦那様の料理で一先ず収束しました。混沌の使徒に関しましては、般若心経の音声を流し続けることで収まりました》
「……効果あるんだな、お経って。まあ、神話体系は違えど、今は居る休人たちの認識の影響かな?」
聖職者系の職業をセットし、『星域』を展開しながら唱えた念仏。
どうやらそれが、混沌勢とはいえ神に通じたようで……素人のものでも効くんだな。
「それじゃあ、またしばらくはそこまでの問題は起きないんだな」
《はい、問題──》
このタイミングで、どこかで何かが爆発する音が鳴り響く。
……残念ながら、自由にはまだまだ程遠いようだ。
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