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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄計画 その28

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 邪悪深殿 五十層(?)

 ボス部屋に存在する謎の空間、そこに差し込むは願望機であるメカトラ。
 願ったのはあらゆる枷の解放、ゆえにそれは開かれた。

「──これは……驚きました」

『ガウ?』

「いや、そうだな……もう戻っていいぞ。何かあったら、ちゃんと呼ぶからな」

『ガウッ!』

 歪曲した空間の先に在ったのは、ただ果てしない白の世界。
 かつて、神練を終えた際に神々と邂逅した場を思わせる、重圧感を放つナニカ。

 それに(物理的に)圧し潰され死に戻りながら、ただひたすらに前を進んでいく。
 ある程度予想はしていた、この迷宮の構造上浮かんでいた疑問が一つ。

「上からも下からも攻略が行われるのであれば、いったい迷宮の核はどこにあるのか。また、それを守護する存在は居るのか」

 基本的に迷宮とは、奥深くに自らの心臓である核を設置したうえで侵入者を阻む。
 魔物であったり罠であったり、途中までは来れても奥までは来れない仕掛けを凝らす。

 それは人造──あるいは何者かの干渉により造られた迷宮も、大抵は同じこと。
 その方が多く障害物を設置できるし、上層で突発的な被害が起きても避けられる。

 かつて、異空間だから壊れる心配がないと迷宮の上層で喧嘩をした原人が居て、その結果迷宮が失われたという話はよく知られているらしい……どうやら強過ぎたようだ。

 ともあれ、そんな故事からも奇を衒して探索者たちの裏を掻こうとするとロクなことにならないというのが、【迷宮主】たちの認識らしい(by過去の【仙王】)。

「五十層、唯一他の階層と違い上と下で共通の階層となるここ。誰もがその中間、という認識であるがゆえにそれ以上を探ることなく次の階層を目指しますよね──まさか、ここで切り替わるなんて思いも知らずに」

 迷宮は四十九層、または五十一層から五十層へ向かう時点でその軸を歪めていた。
 五十層からそれぞれの階層へ向かう際に切り替わるのではなく、その前に切り替わる。

 それだけのこと、というわけではない。
 五十層自体が切り離されたもので、どちらから挑もうと辿り着く場所は同じ──では本来存在する、もう一つの五十層とは?

  ◆   □   ◆   □   ◆

 ──最奥にて、それは待っていた。

 ただ座して、拒むように受け入れないでいた探索者を。
 この迷宮の真の中枢、辿り着くことを求める挑戦の果て。

 そして、俺は──

「……なるほどなるほど! それで、続きはいったいどうなるのですか!?」

「じゅ、順番に話すから落ち着いてくれ……どうしてこうなった?」

 酷く混乱していた。

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