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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄計画 その21
しおりを挟む新たに誕生した『○○マスター』系能力。
エクリでも再現できないという、厄介極まりない性質上、俺ではまったく手出しができないことに思わず目から熱いものが……。
「──なんだ?」
あてはあるが今はどうにもならない、なので気を引き締めて街を歩いていた俺。
すると、街の中央区画辺りに人だかりができているのを発見。
なんだなんだと野次馬根性で覗きを……と向かえば間違いなく星敵たちに厄介な絡まれ方をされるので、魔道具『空翔靴』を使用して空から拝むことに。
「…………ん゛? もしかして、あれって休人なのか?」
《マーカーを識別します──間違いなく、休人のようです》
「そうか……ついに来たか。まさか、覚悟のうえで犯罪を犯すとはな」
この監獄が完成した後、運営が発表したらしいここへの移送システム。
犯罪者認定されている者が死ぬと、条件を満たしていた場合に収容されるというもの。
タクマから、裏で意図的にこちらへ来ることを目論んでいる集団が居ることを事前に聞いてはいた……どうやら、刑期の方を収容されるギリギリに調整して挑むとのこと。
星敵が収容されるレベルの場所なので、現実で言えば無期懲役やら寿命以上の収容年数の罪が該当するはずなのだが……覚悟を決めたとか、そういうことなのだろうか。
《おそらく、報酬に釣られたのかと。未開拓のエリアゆえに、その情報はまさに宝の山。ここで得た情報を外部に売ることで、出所後一切困らない財を得る……などの考えもございます》
「こっちの世界の連中ならともかく、休人は外部に連絡し放題だもんな……いちおうシステム的に[掲示板]は使えないし、得た情報の証拠になる[SS]も使えないけど。別に[ログアウト]後にばら撒けばいいもんな」
星が俺や休人への対策か、『プログレス』使用者すべてに制限を課すために設けたであろう情報の抑制。
だがそれはこの世界の範疇。
休人であれば、外の世界に行けばそういった制限から解放されて好き放題に情報を拡散できる……まあ、モノによるだろうけど。
マザーAIが、そういった情報もしっかり検閲しているとのウワサが(byタクマ)。
なので悪意ある虚偽はバレるだろうし、やり過ぎたらアカウント削除なんてことに。
『──! ────!!』
「何か揉めているみたいだが……ドローンで内容は分からないか?」
《……どうやら主張しているようですね──休人である『生者』は、自分たち休人にこそ殺して報酬を得る権利があると》
「ええ……」
殺す権利って……どう反応していいかわからず、しばらく思考が止まってしまう俺なのだった。
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