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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄計画 その15
しおりを挟む混沌の使徒の使徒──要は使い魔的存在が神殿の中で生まれていた。
神殿そのものの結界、そしてエクリの隔離が無ければ外部に出て暴れていただろう。
「さて、退治しますか──よいしょっと」
普段のように星具や『プログレス』を使うのではなく、今回はあくまで自作武具。
かつて大ヒットした光子系の武器、その俺専用版である銃剣を取り出す。
元はショウ用の代物だが、試作版として自分のモノも製作してあった。
……いやほら、ロマン武器だし渡す前に試しておかないと、フカコウリョクデス。
「『試作光銃剣』、こいつで充分だな」
ショウに渡した『星光銃剣ソールナ』と違い、光子技術と変形機構が備わっている点を除けば特殊な仕掛けが施されていない代物。
だが、一つだけ優れている点。
それは単純にスペックの高さ──ショウの武器と違い、自重というものが完全に存在していないのだ。
普通逆では、とお考えのそこの貴方。
俺だって大人、突出した存在がどういった目で見られるかをよく知っている…………主にルリ関係で。
なので試作版でその自重が失われた際のヤバさを調べ、そのうえでショウが周囲からハブられない限界を見極めてから正式版の製造に当たったのだ。
「というわけで、一発撃てば」
『■■■……ッ!!』
「それだけで充分な出力なんだよな……」
エクリが意図的に神殿の出入り口に誘導してきた使い魔を、引き金を軽く引くだけで瞬殺する……銃の危険性はよく語られるが、ある意味、今の俺がその極致だな。
神殿の奥から現れたそれは、この監獄に来てから何度も見ている異形の類。
中でも先日相対した、魔物に手を加えた異形に類似していた。
「世界最弱の俺が、こうして無双状態にあるわけだし……しかも一方的に。ははっ、昔置かれてたって言う、ゲームセンターのゾンビシューティングだな」
弾丸無制限、一発必殺というチート仕様なのはズルの極みなのだが。
それはともかく、結界越しの無双劇はしばらくの間続く。
「……っと、もう来ないか──エクリ」
『生成は終了しました』
「了解だ。さて、行きますか」
神殿の中には入ると、そこは空気が一変。
清浄な空間……と言いたいところだが、そもそもそんな場所に異形は現れない。
一歩足を踏み出すのを躊躇うほど、おどろおどろしい空気の圧。
体を覆う、縛るような粘着質な空間を掻き分けながら奥へと向かっていく。
なお、普段からそんな場所なわけがない。
今は混沌の使徒の干渉、そして使い魔たちの発生によって一時的に空間の性質が歪められているだけだ。
より長く、より嫌がる方向に。
俺やこの神殿に崇め奉られている神々が迷惑がるような行為をするため、必死の悪足掻きというわけだ。
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