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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄計画 その10
しおりを挟む混沌を求める神様との問答の果て、精神を崩壊一歩手前まで引き摺り込まれる俺。
それを救ったのは事前に仕込んでおいた、[カゲフミ]の“無影供”だった。
「[ログ]確認っと…………うわ、全部文字化けしてる」
行動のすべてを記録するはずの[ログ]。
だというのに、十層からここに至るまでの過程がまったく分からない──■で塗り潰されている。
何かあった、それだけは分かる辺りまだ配慮されているのかもしれない。
これがどういった仕様なのか、それはさておき情報の確認を続ける。
「──『SEBAS』」
《お呼びでしょうか?》
「頼んでいたモノを──今に至るまでの情報の書き込みを」
《畏まりました──上書きを実行します》
本来、不鮮明だった[ログ]の画面を再び認識可能な文字の羅列が塗り替えていく。
俺の発言や相手の神様の意思、そして何が行われていたのか。
そういった分からなかった情報を、裏ですべて記録していた『SEBAS』が代理で表示していく──間接的なのは、俺が再度見て発狂しないようにするためだぞ。
「……混沌ねぇ。いやまあ、俺だってランダムプレイは好きだし、物は取れるだけ取れた方がいいと思うタイプではあるんだが。でも世界的に混沌になられるのはな……正直、利点が見つからない」
どちらかと言えば現状維持、それこそ中庸ぐらいがいいと思うタイプの人種だ。
ショウやマイは秩序派だし、ルリも……混沌寄りではあるが中庸派だとは思うけど。
ルリの場合、一度思い付きでこうと決めたら梃子でも動かないからなぁ。
おまけに文字通りの神補正が働くため、止めることはほぼ不可能だし。
「ただ、なぜに俺なんだろうか……他の星敵とか、それこそスカウトに応じそうな連中が山ほど居そうなんだが」
《そちらに関しましては、おそらくすでに実行しているのでしょう。旦那様に目を付けたのも、あくまでサブプランの一つかと》
「……おまけ扱いなのはいいけど、俺一人の力じゃさして意味ないだろうし。ただ、仲間集めというか手駒集めをして神様はいったい何がしたいんだろうね?」
まあ、だいたい分かるけど。
失名神話の神々と同じように、神々の神話体系の一部は人々から名前の認知を失い弱体化してしまっている。
それをどうにかしようと抗うのは、言わば生存本能のようなもの。
理屈じゃない、生き残るためには必要なこと──ただそれだけなのである。
「何より、ここってあの神様の神話が好みそうな連中ばっかりだしな……混沌、それを引き起こした連中ばっかりじゃん」
そうじゃないのも居るけど、大半がそうなわけで……いったいどれだけの星敵が、質問に肯定したのやら。
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