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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄計画 その08
しおりを挟む十層のボスを討伐。
闇特化のエクリなので、『グランドマロット』によって闇の光を生み出してトドメを刺した。
『お見事です、創者様』
「ありがとよ、でもそれもすべてエクリのスペックがあってこそだろう」
『いえ、私ではそれを使うことはできませんので。創者様だからこそ、です』
「……チート使ってます、って感じだな。この[カゲフミ]も、そういう意味じゃズルそのものだしな」
更に言うと、エクリもまた遺製具を加工しているのだ。
一般人であれば生涯得ることも無いようなチートアイテムを、二つも使っている。
休人は死なないのでどんどん挑むが、普通は文字通りの死闘を繰り広げなければならない固有種に挑む原人はそう居ない……まあ、例外もかなり多いけど。
「さて、十一層に行くための転移陣と、一度ここから出るための転移陣が出たな…………そもそもどちらかに乗らないとダメか?」
《はい。ですが、旦那様の懸念もごもっともかと》
「まあ、さっき溜めたエネルギーもある。今の内にやるだけやっておこう」
そう見て眺める懐中時計の針は、残量ゼロである十二時を示してはいない。
一度溜めてさえおけば、しばらくは温存できる……ずっとではないのが難点だが。
時計という形からも分かるように、時は勝手に過ぎてしまうもの。
なので今回、意味のあるタイミングで使い切っておこうと思う。
「『アップ・ロード:■■■■■■■』」
◆ □ ◆ □ ◆
邪悪深殿 ???
俺が選んだのは脱出のための転移陣。
なので起動したそれが向かう先は、一層の出口のはずだった。
だが俺が居るのは見覚えのある一層ではなく、何もかもが黒い謎の空間。
迷宮から外部への直接的な転移はできないはずなので、おそらくまだ中のどこかだ。
「これは……」
『■■■■……』
「!」
思考に耽っていた俺を見るナニカ。
それは巨大な目玉、ただジッと観察するように……あるいは使い捨ての道具を見るような退屈そうな視線で眺めていた。
「くっ……」
『──カイワハコレデデキルカナ』
「頭に直接……!?」
『デキルミタイダネ。ヤア、マズハゴアイサツトイコウカ。ホシワタリノタミ、モットモアタラシキキミタチニテイアンガアル』
「…………提案、とは?」
考えるだけで会話を行う、念話のようなことは何度もやってきている。
だがこれは、その出力を一方的に強めているような感覚だろうか。
脳への負担が尋常では無く、まともな思考ができなくなる……はずだ。
俺の場合は死んでリセットされるので、そこまで問題にはなっていなかった。
相手方も、俺の無限発光は気にしていないのでこれ自体が目的というわけじゃない。
本当に挨拶を、あるいは俺を見ることが目的だったと考えられる。
『──キミハ、コントンハスキカイ?』
だからこそ、慎重に対応する必要がある。
相手は星の目を掻い潜るようなヤバい奴、常識が通じる相手では無いのだから。
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