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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄計画 その05
しおりを挟むありとあらゆる存在に、それこそ本来敵と定義されるべきものにすら狙われる俺。
誰であろうと討伐報酬を得られる、そう定められてしまっているから。
おそらくちゃんと考えるお頭があったと思われるバシビウス、そして名状しがたい狂気的な宇宙的恐怖もまた、そうして何らかの意図を以って刺客を差し向けてきた。
「大半の連中は説き伏せてきたけど、まだ諦めていない連中も居たし、絶対安全とは最初から思ってないけどさ……やれやれ、人気者は辛いなぁ」
擬似スキルで隠蔽を使い、闇を周囲に軽く散布しながら移動中。
平時は通用しない者も多いが、今は侵略者付きの魔物と戦っているため気づかれない。
戦闘中の方が意識を張りつめているので、まあバレている可能性も有るのだが。
擬似スキルはあくまで技術、バレても解除されてるわけでも無いので問題ない。
散布してある闇を感知網代わりにしてあるので、どこに魔物が居るのかも分かる。
星敵や魔物が居ない場所を通りつつ、どうしても避けられない場合は影の中を進む。
そうして進むのは上層、行けば行くほど星敵の数も減っていく。
──当然その分、侵略者付きの魔物の数が増えるわけだが。
◆ □ ◆ □ ◆
邪悪深殿 九層
十層ごとにボス級の個体の階層となる。
まあ、星敵たちからすれば一匹倒せばすぐに上に行けるサービス的な場所なのだが、俺の場合は普通に大変だ。
「まあ、混むよな……」
休人であれば、サーバー分けみたいな特殊な仕様で比較的待たずとも待ち時間が必要な場所も入れるのだが、星敵たちはそうではないので入り口で皆待っている。
中で魔物が復活するまで待機する必要があり、戦闘行為が許されないわけじゃない。
だからこそ、俺が居るとバレたら面倒なのだが……今の俺はエクリだしな。
「よいしょっと、これでよし」
影の中から看板を取り出す。
そこには『並んでます、予約中:前○人』と記されており、十層へ向かう者が現れると数が着々と減っていく。
実はこれ、こちらに来てから何度か使っているので星敵たちには知られている。
だからだろう、看板を見た星敵たちが周辺に居るであろう俺を探し始めた。
──それでも看板を抜く者は現れない。
それはすでに試した者がいて、どういった末路を迎えたのかを星敵たちがよく知っているからだ。
「力があれば許される、か……でもこうしないと入れないからな」
いちいち一人ひとりを相手にしていても、俺に得となることが何もないのが現状。
星敵たちを倒しても得られるモノが、ここというか監獄全体で何一つ得られない。
利なのか不利なのか、それを探った結果がこのやり方。
主張をし、異議があるなら叩き潰す──少なくとも、この程度で逆らうヤツは居ない。
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