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DIY、監獄ライフに勤しむ
監獄生活 その30
しおりを挟む最近は割とのんびりできているわけで。
料理を作りつつ、装備の手入れなどをして着々と儲けていた。
「──謎の敵、ですか……」
だが、そんなある日『修羅』から扉の先に現れた謎の存在について話を聞くことに。
……詳しく話を聞くと、その正体について朧気ながら思い浮かぶものが。
「ああ、何でも黒い靄を纏っているのが全体の特徴のようだ。不死性を有し、触れるとこちらに侵蝕しようとしてくる……『生者』のポーションの効能もあって、まだ被害などは確認されていないがな」
「…………」
「他にも──何か心当たりがあるようだな」
「ええ、まあ。冒険世界出身の、星渡りの民が訪れた以降の方が居れば分かったのかもしれませんが……それはおそらく、この星に発生した寄生生命体ですね」
初めて遭遇したのは、獣人が信仰する森獣たちの住まう大森林。
通常とは異なる禍々しさから、いろいろと調査をして発覚した異様さ。
「──とまあ、そこで見つけたのが寄生生命体。私は『バシビウス』、と命名しました。彼らは黒い靄の中でしか長期的に活動することはできず、寄生した生命体からそれらを生み出させることで生存を可能とします」
『…………』
「以上が、この場で開示できる情報です。これよりも詳細な情報をお求めの場合は、ぜひとも例の情報屋さんをご利用ください」
『チッ!!』
あからさまに舌打ちを行う星敵たちを、そのまま無視して再び料理を作り始める。
渋々情報屋の下へ向かう者や、気にせず料理を待つ者など選択はそれぞれだ。
「しかし、監獄にも侵略者が……これは仕込みなのか、あるいはイレギュラーな事態なのか。その辺がどうにも分かりませんね」
忘れる所だったが、この監獄があるのは他でもない侵略者たちの住んでいた場所。
監獄を造るに辺り、各星々からリソースを割いて何かしたらしいが……無駄だったか。
あるいはそれをしたからこそ、ある程度時間が空いた今だったのかもしれない。
……いづれにせよ、このままずっと平穏な生活、というのはもうダメなのだろう。
「仕方が無い、そろそろセカンドプランに移行するとしましょう──エクリ」
「ハッ、ここに」
「まずは現場の確認へ向かいます。準備を終えたら──」
「すでに準備はできております」
俺自身が扉の先へ向かったことはまだ一度もなく、エクリに行ってもらっている。
今回もまた、そうしてエクリに代行してもらう形で調査を行う。
いい機会だ、そろそろ開始しよう──脱獄への第一歩。
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