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DIY、監獄ライフに勤しむ
監獄生活 その26
しおりを挟む呼び出したのは星敵と化した情報屋。
俺を殺すことで得られるもの以上に、価値のあるモノをもたらす──それを対価として寝返ってもらえるよう交渉中だ。
「大前提として、星が私を殺した際に与えるという報酬。そこに彼らにとって不利益な情報が入ると思いますか?」
「間違いない。星約が違われることは絶対に無く、それは他でもない星そのものもまた対象に含まれる。星が是と告げたのであれば、それは真実、いや事実となる」
「でしょうね。そうでもなければ、星敵たちが自らを封じた存在に従うわけがない。信用せずとも信頼する、それに足り得るナニカが星にはある。それだけでした」
シンプルに力やら寿命やら、そういったモノならば容易いだろう。
元より弱肉強食、人もまたそうして他者を喰らうことで己の糧にして生き繋ぐわけで。
ならば星というすべての生物の母、その頼み事を聞くことにも相応の報酬が存在する。
星の意思に反するやり方とはいえ、強者である星敵──利用価値は充分だ。
「さて、そろそろ我々の話をしましょう。星がもたらす叡智、たしかにそれは大変魅力的なものでしょう。世界の歴史、あるいはその先──そのすべてを得られる」
「……」
「貴方が望む物は何なのか。はっきり言いましょう、私には分かりません。ですが、伝言は本当です。星の神秘、その一端に私は触れています」
「だろうな。前人未踏、未だかつて……いや今の時代において誰も到達できていない伝説上の存在。レベル999、頂に触れたアンタは何を見た?」
俺と同じ存在は、把握している限りだと初代『騎士王』しか居ない。
レベル999、常人では決して至ることのできない苦難困難の果てに在る数値だ。
……まあ、どちらも両極端に才能の有無が関わっているのだが。
俺は当然無さ過ぎるがゆえに、『騎士王』は逆に有り余っていたからこそだ。
「それを報酬として差し上げる、取引としては充分では?」
「その言葉を鵜呑みにするような情報屋を、アンタは求めているのか?」
「ごもっともで。まずは──前払いとしてこちらを。それなりに情報を伏せて仕様ですけども……貴方にはそれで、充分なのでは?」
「!」
すぐに引っ手繰るように俺が取り出した紙の資料を奪い、目を通していく。
真偽など向こうが勝手に判断してくれる、内容そのものが禁忌なヤバい内容だ。
これもまた、アイスプルの図書館に寄贈しておいてある。
なので内容を知っているのは、俺の関係者以外では『学者』ぐらいだろう。
それを読み解きこちらを見た情報屋は──目を爛々と光らせ睨んでいた。
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