2,235 / 2,791
DIY、監獄ライフに勤しむ
監獄生活 その23
しおりを挟む街に居るであろう、まだ見ぬ強い星敵。
どうやら収監されて大して経っていないにも関わらず、転移の阻害やら誘導やらの仕込みまで済ませている者が居るらしい。
なお、後で聞いた話だが特定の者──つまり俺に限定したものなんだとか。
……そりゃあ無策で突っ込んでくる他の星敵とか、相手にするのは面倒なのだろう。
「──改めて、ここが街か」
そう呟く俺、だが実際に俺がいる場所は街であって街ではない。
必死に考えた、転移系の事象に干渉するようなヤバい星敵が居る街に行くのは不味い。
ならばどうするか……どうせ他にも、別の星敵が異なる形で罠を張っているはず。
そうだ、じゃあ行かなければいい──そのうえで、変わり身を送り込もうと。
「よし、そのまま進んでくれ」
『はい、畏まりました』
ネタ晴らしをするなら、イベント時も良く行っている視界の同調による望遠。
何もない場所で隠れ潜み、代わりに街へ向かっているエクリの見るモノを観ていた。
俺自身が向こうに憑依する形で行くこともできたが、それを解除するような星敵が居ると困るのでこういった形となっている。
逆探知なども想定しており、俺の周囲にはそう簡単には手を出せないよう仕掛けをいくつか施してある……そこまでしてなお、星敵には対処しきれない気がするけどな。
「…………ただ、今の俺って傍から見たらかなりヤバいヤツな気がするけどな」
今は簡易的に設置したベッド(質に関しては最高ランク)に仰向けになっているが、その状態でひたすら言葉を紡ぐ様子は、寝言とも思えない病的なものだ。
俺自身は俺を認識できないのでいいが、その光景を見られたら……たとえ星敵、若干動きが止まるかもしれないな。
「そうだ、エクリ。かなり見られている気はするんだが、そういう視線から成る能力とかは掛けられていないな?」
『掛けられてはおりますが、創者様の御作りになられたこの体には通じていません』
「そういうことじゃないんだが……つまり、普通にバレていると」
『隠していないので、そうなるかと』
隠れ潜む計画はあったが、あえてエクリには堂々と街を歩いてもらっている。
非戦闘の決まりがどうなっているのか、また彼らの反応を見たかったのもある。
視線での干渉──おそらく魔眼系のそれが通じている辺り、抜け道は多いのだろう。
だからこそ転移先の書き換えなど、直接でなければ手を加えることができると。
「勝手に増殖する、俺たちの手が入っていない細菌でもばら撒けば大半の星敵は一掃できるかもしれないな」
創作物から引っ張ってきた知識から、そんな野蛮なことを思いつく。
……まあ、脱獄するその日には、周りから邪魔されないように使うことも考慮しよう。
0
お気に入りに追加
650
あなたにおすすめの小説
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった
ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」
15歳の春。
念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。
「隊長とか面倒くさいんですけど」
S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは……
「部下は美女揃いだぞ?」
「やらせていただきます!」
こうして俺は仕方なく隊長となった。
渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。
女騎士二人は17歳。
もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。
「あの……みんな年上なんですが」
「だが美人揃いだぞ?」
「がんばります!」
とは言ったものの。
俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?
と思っていた翌日の朝。
実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた!
★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。
※2023年11月25日に書籍が発売!
イラストレーターはiltusa先生です!
※コミカライズも進行中!
最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職
鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』
倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。
……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。
しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。
意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる