虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、監獄ライフに勤しむ

監獄生活 その21

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 細菌へのメタを取られてしまったので、そちらはもう使えない。
 なのでそちらの戦い方は諦め、別の方法を即興でやってみる。

「──『リアルチェッカー』」

 今回起動したのは、非現実的なものを暴くというもの。
 本来の担い手はかつて、これを使って精霊がどこに居るのかを探っていた。

 ナニカなど、見るだけで発狂するレベルで非現実的な存在。
 ゆえにその存在を正しく捉え、認識することができる。

「重要な箇所だけを厳選。核、または心臓に該当する場所だけを探れば…………よし、見つけた」

 最初からやればよかった、とは言わない。
 おそらくこれも、フィルターを掛けないまま使っていれば発狂して終わるだけだ。

 しっかりと時間を掛け、対策を整えたからこそのやり方。
 そしてその核は……なんと、本体と思っていた個体の中とは別の場所に。

「在り方自体、普通の生物とはまったく違うわけだな……『デッドウェイト』」

『■■!?』

「ビンゴ……特定状況に限った無敵、というわけでもないか。普通なら、アレだけでも勝てるわけだし──“模倣術式01”」

 前回から多用している、死を媒介とした強烈な重力を発生させる『プログレス』。
 それに加え、『愚かな賢者』が見せた特定の箇所に重力を加える術式を発動。

 するとどうなるか、周辺に掛かるはずの重力が一点に集中して更なる重みをもたらす。
 それを発動したのは──天井、上空に配置されていた見えざるナニカの核へ。

 逆さまに展開された重力により、天井に張り付けとなった核。
 下にしなかったのは、分裂体たちと合流をさせないためだ。

 また、下に居る個体たちに対しては同時に地面への重力を掛けて縫い付けておく。
 核を助けに行かれても面倒だし、それぐらいの余裕があるほど死んでリソースがある。

 これまで多くの死を重ねた結果、その重みは尋常ならざるものではない。
 重力に抗うように、ナニカのスライムのような体が上空に向かうが……時すでに遅し。

「[虚膨]──重力属性」

 星剣を一振りして斬撃を飛ばす。
 分裂体たちを掻い潜り、核へ誰よりも速く到達し──トドメの一撃となった。

「…………終わった、か」

『■■■■■ッ!!』

 粒子となって消えていく核。
 足止めをしていたナニカたちも、断末魔のような声を上げて消滅する。

 何より、『死闘の舞台』の効果が切れて周囲の結界が解除されていた。
 長い戦いだった、実際に経った時間より精神的な負担からそう思う。

 そりゃあ星敵たちと連闘しているわけで。
 これってある意味、ゲームとかでも最後にやるボスラッシュ──エンドコンテンツぐらいの難易度な気がする。

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