虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、監獄ライフに勤しむ

監獄生活 その16

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 実験の結果、相手の苦手な属性が判明。
 それらを使って本格的な攻撃を……といったところで、痺れを切らした異形の獣に変化が発生する。

「……対策しておいて良かった。フィルター越しでこれなんだから、もし直で見ていたらどうなっていたことやら」

 シンプルに、かつ絵面を優しく説明するのであればスライムだろう。
 ただし、国民的RPGに出てくるまんまの方ではなく、強いて言えばバブルの方。

 体は原型を保たず、マグマのようにポコポコと湧き上がるナニカ。
 それでいて体のパーツが全身から伸び、その禍々しさを強調している。

 フィルターを掛けてすら、そう認識できてしまうのだ。
 普通にその光景を見てしまえば、大半の者は即座に狂ってしまうだろう。

「しかしまあ、いったいどこの星がこんな化け物を隠していたのやら。知られずにいつの間にかここに居ました、なんて都合のいい話があるわけないだろうに……あと、そもそもどうやって抑え込んだのかさっぱりだ」

《人型の星敵はともかく、大半の個体には星固有の法則というものがございません。むしろ、ランダム性を秘めているがゆえの強力さが彼らの特徴です》

「うーん、方向性を統一しない分、純粋な元の能力の強化にリソースが回されているってことなのか? 人と魔物で、扱いに差があることは分かったよ」

 人と魔物、星にとってどちらが利を多くもたらすかと言うと……正直微妙ではあるが。
 それでも星は人を選び、人が誤った方向へ行かぬよう魔物たちを利用している。

「……っと、考えている暇は無いな。やっぱり、スライムと言えば分裂かー」

 ボコボコと体から溢れたナニカが、やがて部位から切断され地面に落ちていく。
 すると、地面を溶かしてナニカが溜まっていき──新たなナニカが増えていった。

 体積が増えると、今度はそこからさらに部位が切断。
 それもまた時間経過によって膨らみ、新たな個体となっていく。

「厄介極まりない──凍属性っと」

 握り締めた星剣[虚膨]から溢れるエネルギーの属性を指定、それを勢いよく振るう。
 氷の最上位属性がこの場に顕現し、辺り一帯を一瞬で凍てつかせる。

「効果は……本体は無効化、でも分裂体は普通に凍結か。切り離された時点で、星敵としてのスペックが無くなるのか?」

《いいえ、どうやら凍結された内部でも一部の個体は生存しているようです。それらはすべて、本体から分裂した個体の模様》

「つまり、分裂体から分裂した分だけならこのやり方で済ませられると。念のため、もう一発──火山の一撃!」

 今度は火属性の最上位属性を指定。
 灼熱の熱気がこの場に顕現、氷に呑まれていた分裂体を一気に燃やし尽くす。

《──生命反応喪失、今度こそ問題無く倒せたかと》

「ただし、本体を除く……か。弱点属性なら本体分裂体もどうにかなるな。まったく、手間を掛けさせてくれる」

 本体はウニョウニョとしながらも今なお健在だ……さて、どうしたものやら。

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