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DIY、監獄ライフに勤しむ
監獄生活 その15
しおりを挟む悲報:異形の獣に【勇者】の刃通じず!
……なんてことを思いつつ、触手による猛撃を(『SEBAS』が)回避していく。
再生能力が半端ないのか、切ってもすぐに生えてくる始末。
魔を滅する刃の効果が無いのか、それとも通じていてもすぐに無効化するのか。
「結局のところ、正攻法で挑むこと自体俺には向いていないんだよな……“分捌ノ瞳”」
この状況で起動したのは、調理師系統の職業能力。
効果は生物の切るべき場所を、視覚的に捉えるというものだ。
ただまあ、メインが調理ということによる制限や使用者の技量次第で表示量が変化するなどの問題もあるが……“職業強化”で経験値を投了することで、それらは解消済み。
普段は『SEBAS』が全部見てくれているが、あえて今回は発動。
触手に光るポイントを捉え、一先ず実験程度に剣で切りつけてみる。
「おおっ、効果ありだ……ほんのちょっとだけ、再生が遅い気がする」
『■■ッ!!』
「ただし、すぐに再生するし相手を怒らせるだけっと……でも、場所が移動したな? もしかして──」
《旦那様の推察通り、おそらくはそれでしょう。再生の速度は全体量として決められており、必要に応じてそれを分配することで超速的な再生を行っていると思われます》
もちろん仮説でしかないし、状況によっては──第二段階などがあれば、そのやり方にも変化が生じる可能性もあるだろう。
「だからこそ、早め早めの内に試しておかないとな──イケっ!」
『■!?』
空を飛んで獣に襲い掛かる星剣と術式。
しかしながら、担い手が弱いため正直威力という観点ではかなりしょぼいものだ。
それでも、『貧弱な武力』と『闘匠』の効果もありダメージ自体は発生する。
だからだろう、触手にもチクチクと攻撃が入り獣をイラつかせていく。
「状況は?」
《ダメージ量の確認……火、雷、光の効果があります。減衰はございません。また、当然ながら星のエネルギーは別格に影響力を及ぼしているようです》
「よし、なら属性をその三つのみに変更。ついでに刃にも付与しておくか」
すぐさま展開中の“千変宝珠”に手を加えて、獣に有効的な属性のみに。
また、[虚膨]の剣身に属性を付与──術式を乗せるのではなく、星の力を変質する。
火であれば火山を、雷であれば轟雷を。
ある意味すべての属性の超上位互換、それが星の力だからな。
「さて、また実験といこうか」
『■■■!!』
「ッ……さすがに痺れを切らすか」
いつまでも児戯に付き合ってくれるわけでは無いようで。
獣が吼えると、またこの状況に新たな変化が起きた。
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