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DIY、監獄ライフに勤しむ
監獄生活 その14
しおりを挟むSAN値チェックに備え、目に優しいフィルターの準備を徹底した。
簡易版でも『死天』のヤバいアイテムを大量生産、本気を出されたらどうなるのやら。
「──“孤独蟲毒”、“虚心膨虐”」
死ぬことで機能する自己バフ術式、星剣の力を解放する単語をそれぞれ紡ぐ。
前者はまだまだ力が足りず、後者もまた今の俺に扱える短剣サイズが二本のみ。
「──“千変宝珠・虹”」
そして、周囲に浮かび上がる魔力球。
色とりどりに輝くそれは、一色一色に異なる属性を宿している。
「まずは様子見で──疾ッ」
『■!』
体の動きは『SEBAS』が操り、対異形用の戦闘スタイルを結界で行っていた。
──だが星剣の刃は、獣から伸びた触手を切り裂けないまま止まる。
「途中まで、か……柔らかくて、でもすぐに硬くできるのか」
『■!』
「おっと、こりゃあ不味い」
剣を抜こうにも抜けず、手放そうとしたら触手を絡みつけてきた。
触手はどんどん増え、その一部が鋭い棘場となり襲い掛かってくる。
「でも残念」
《外部からの強制操作により、[虚膨]の剣身操作を実行します》
『■■!?』
絡ませた触手には多くの状態異常を発生させるナニカが分泌されていたようだが、星敵レベルのモノであろうと、『SEBAS』の緻密な遠隔操作には無意味。
突然刃が極限まで縮み、剣身に絡みついていた触手が失われる。
それとほぼ同時に再び剣身が伸びると、俺(の結界)に付いていたモノを切り払う。
すぐに視界内転移で上空へ脱出、そこからまた地面に転移して無事着地。
一方の獣も何が起きたか理解したのか、怒り狂ったご様子(に見える)。
実際にはどんな反応なのか、フィルター超しなので分からないが……うん、ヤバそうだから知らなくていいや。
『■■■■ッ!!』
「おお、怒っているのだけはよく分かる……でも知らん。外敵って意味で効けばいいんだけど──“光迅剣”」
正直、全然使っていないそれは【勇者】の固有能力から成る光の刃。
魔を滅する、要は魔物特攻を秘めた刃なのだが……果たしてその性能はいかに。
「…………って、全然ダメじゃん」
『■■!!』
怒っているのしか分からず、効いている様子はない。
まあ、怒っている理由に、攻撃がまったく当たっていないのもあるんだろうけど。
激しく振り回す触手を、か弱い人族がスルスルと避けているのだから仕方が無い。
もちろん、俺自身は何もしていないがある程度パターンを解析済みとのこと。
さて、触手に当てた光の刃なのだが断ち切ることもできず先ほどと同じ結果だった。
……おまけに中途半端に切った部分もすぐに再生、これどうやったら倒せるのだろう。
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