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DIY、監獄ライフに勤しむ
監獄生活 その13
しおりを挟む最後の星敵は、名状しがたい獣のようなナニカだった。
結界を張って攻撃を防ぎつつ、時間が経つのを待っている。
「……変化なし、と。良くも悪くも、文字通り理そのものが違う存在なんだな」
『■■■……』
唸り声を上げているつもりなのだろう。
認識できない……いや、認識を本能が拒否する音を発する獣に対してそう呟く。
理、つまり世界の法則。
俺はその手にしたアイテム──『理星の宝石』の効力を確かめていた。
アイスプルの理が仕込まれたそれは、周囲における星の理を強制的に遮断する。
……まあ、まだアイスプルの理が定まっていないからこそ、逆に他を中和するのだ。
「だからこそ、自分と周囲とで違いがあれば逆に分かるわけなんだが……こいつの世界の理はどうなっているのやら」
この監獄がある侵略世界もまた、理は存在していない。
なのでこの監獄はそれぞれの星敵に合わせて、個人個人に各星の理が適用されている。
とまあ、それを無効化できるというチートアイテムを持ち込んでいるわけだが……獣には通用していない。
「思いつくのは二つ。アイスプルみたいに星の理が最初から無いか、あるいは……そもそもとしてどこかの星に所属していない、なんて存在か」
星敵とは星に仇なす危険存在。
なので『修羅』のような存在はともかくとして、『光天軌涯』のようにどこからともなく現れ危険認定される存在も居る。
「…………まあ、無所属自体絶対に無いわけじゃないからな。アイスプルも他の星に正式認定されているわけじゃないし、暫定的には俺も無所属みたいなもんだし」
《旦那様、準備が整いました》
「よし、じゃあそろそろ始めようか……ちょうど結界も壊れるみたいだし」
『■■■■!』
結界の耐久度はきっちりと計り、相手の攻撃威力を確かめていた。
それをそれなりに時間を掛けた獣は、砕いた瞬間に襲い掛かってくる。
「転移っと」
『■!?』
「はい、残念。本来なら、狂気にでも干渉する能力で相手を弱らせるのかもな……かなりヤバいみたいだし」
俺自身はそれを自覚できないが、生成されていく『死天』のアイテムがそれを物語っている……どれもこれも、強者を廃人にしかねない性能を秘めていた。
「『SEBAS』に完全版のフィルターを用意してもらったし、これで戦えるぞ」
《従来のモノよりも、強度な精神保護を掛けております。予測される変化にも対応しておりますので、フィルターが解けることも無いでしょう》
かつて戦ったGとは別ベクトルで、見ることはできるだけ避けたいこの獣。
だからこそ、準備は念入りに……怪物退治の時間だ。
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