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DIY、監獄ライフに勤しむ
監獄生活 その12
しおりを挟む借り物の本物、というちょっと特殊な武技で『光天軌涯』にトドメを刺した。
一度結界が解かれ、外で頑張るエクリを応援してから──再度結界を展開する。
「さて、と……次の相手はっと」
『■■■■■■■!!』
「えっと、理解できないし目もおかしくなっているのか? ……これ、SAN値チェックでダメなパターンなんじゃ」
最初に『修羅』と戦う前、三番目に来ていた星敵を俺は獣型の星敵だと認識していた。
だがどうだろう、結界の中に捕らえたそれは似ても似つかぬ名状しがたい存在。
少なくとも、誘導して『死闘の舞台』を展開するところまでは当初の姿として認識できていたはずなのだが……うん、やっぱりいろいろとおかしい。
《旦那様、すでに数千の死を経ております。こちらの判断で、視界にフィルターを重ねさせていただきます》
「ッ──。うわぁ、マジでヤバいなこれ。とりあえず、ありがとうな」
幸いにも、SAN値チェックをやり過ぎて発狂する前に休人としての精神保護システムも働き、イカれる前に『SEBAS』によるフィルターが間に合った。
改めて星敵を見ると、最初に見た通りの獣型の星敵だ。
……触手やら変な場所から顔のパーツが生えている気もするが、今は放置しておく。
「鑑定っと……『■■■■』、何にも見えやしない。さっきの謎言語っぽい咆哮といい、宇宙的恐怖な世界の出身か?」
《現時点では不明です。しかし、知性を有していることは確かかと。エクリによる足止めの際も、さしたるダメージを負うことなく力の温存を成しています》
「まあ、向こうも俺との戦闘を考慮した戦い方だってことか。それでも、エクリが凄いことに変わりはないがな」
人によってはツッコミを入れるだろうが、エクリの功績はある意味俺の功績だし。
なんて現実逃避をしていられたのは、相手が動くまでだった。
『──■■!』
「……様子見っと」
俺が発狂しないと分かった以上、直接的な排除に移行したのだろう。
叫びと同時にバフのエフェクトが獣を覆った後、こちらに突進してくる。
俺は何もせず、だが結界の出力を上げてそれを待つ。
勢いよく獣は飛び掛かり──ありえないほど顎を開き、齧り付く。
「怖ッ……でも、いけるな。高い能力値があるわけでも、特殊な結界突破系能力があるわけでもない、と」
『──■■!』
向こうにこちらの発言が伝わっているのかは分からない、だが嘲りの表情に関しては理解してもらえたのだろう。
更に吼え、また牙やら爪やらも立てて猛攻撃を行ってくる獣を見ながら……ただ時が過ぎるのを待つのだった。
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