虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
2,218 / 2,853
DIY、監獄ライフに勤しむ

監獄生活 その06

しおりを挟む


 二重の限界突破を使う『修羅』に対し、降りた[アライバー]を『SEBAS』に操縦してもらうことで二対一の状況に……外部の干渉もかなり激しいし、長くは持たない。

「──!」

「──!」

 会話をする余裕すら無くなり、ただ相手よりも先に攻撃を当てることに集中する。
 何もしていない俺だが、アイテムを使ったり外部の情報を調べたりと大忙しなのだ。

(にしても、向こうもずいぶんと粘るな)

 俺と[アライバー]、二人分の模倣武人の攻撃を『修羅』は捌き切っている。
 二重の限界突破の効果は凄まじいのか、傷一つ負っていない……が。

「……くっ」

「おや、時間切れですかね」

 先に使った謎の限界突破の方は分からないが、エフェクト付きの方が失われた。
 当然スペックも落ち、だんだんと傷を負い始める。

 それでも目を慣らしたからか、先に動くことで遅れて攻撃に対処していた。
 致命傷は回避、軽傷で済むものだけをあえて受けてこちらに反撃してくる。

「ですが、これで──」

「ッ!?」

「二重──『抉間靠』!」

 空間を越えた貼山靠。
 俺と[アライバー]で同時に放つことで、逃げ場を封殺する鬼畜仕様。

 さすがの『修羅』も空間ごと攻撃する前提のこれは捌き切れず、モロに直撃。
 かなりのダメージとなったようで、膝をつく『修羅』。

「さて、そろそろ終わりとしましょう」

「! ま、待て!」

「残念ながら、死合う覚悟は初めから持ち合わせておりませんので……」

 向こうは星の復興のため、いろいろと真剣に挑んでいたようだが。
 俺は殺す覚悟も無いし、殺される覚悟……の方はあるが、それはそれで献身ではない。

「ということで──結界解除」

「っ……」

 展開していた『死闘の舞台』は、俺が認識できる形で死亡したことで解除される。
 ──そして、外部で放たれていた攻撃がこちらに飛び込んできた。

「──『星護結界』」

「これが狙いか……!」

「いえいえ、そのようなことは」

 基本的に狙いは俺だが、流れ弾が容赦なく『修羅』を襲う。
 星敵のスペックで放たれるそれは、一発一発が核兵器レベルの壮絶さだ。

「さて、お二人目を誘いますので、今回はこれまでということで」

「…………くっ、これ以上は無駄か」

「そのように判断していただけるのならば、ぜひとも」

「次は、必ず仕留めてみせる」

「ええ、お待ちしておりますよ」

 二種類の限界突破は、やはり無茶をしていたのだろう。
 渋々と言った表情ではあるが、『修羅』はこの場から離れていく。

 さて、次に迎える星敵を見つけて……戦うとしますか。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

処理中です...