虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
2,218 / 2,805
DIY、監獄ライフに勤しむ

監獄生活 その06

しおりを挟む


 二重の限界突破を使う『修羅』に対し、降りた[アライバー]を『SEBAS』に操縦してもらうことで二対一の状況に……外部の干渉もかなり激しいし、長くは持たない。

「──!」

「──!」

 会話をする余裕すら無くなり、ただ相手よりも先に攻撃を当てることに集中する。
 何もしていない俺だが、アイテムを使ったり外部の情報を調べたりと大忙しなのだ。

(にしても、向こうもずいぶんと粘るな)

 俺と[アライバー]、二人分の模倣武人の攻撃を『修羅』は捌き切っている。
 二重の限界突破の効果は凄まじいのか、傷一つ負っていない……が。

「……くっ」

「おや、時間切れですかね」

 先に使った謎の限界突破の方は分からないが、エフェクト付きの方が失われた。
 当然スペックも落ち、だんだんと傷を負い始める。

 それでも目を慣らしたからか、先に動くことで遅れて攻撃に対処していた。
 致命傷は回避、軽傷で済むものだけをあえて受けてこちらに反撃してくる。

「ですが、これで──」

「ッ!?」

「二重──『抉間靠』!」

 空間を越えた貼山靠。
 俺と[アライバー]で同時に放つことで、逃げ場を封殺する鬼畜仕様。

 さすがの『修羅』も空間ごと攻撃する前提のこれは捌き切れず、モロに直撃。
 かなりのダメージとなったようで、膝をつく『修羅』。

「さて、そろそろ終わりとしましょう」

「! ま、待て!」

「残念ながら、死合う覚悟は初めから持ち合わせておりませんので……」

 向こうは星の復興のため、いろいろと真剣に挑んでいたようだが。
 俺は殺す覚悟も無いし、殺される覚悟……の方はあるが、それはそれで献身ではない。

「ということで──結界解除」

「っ……」

 展開していた『死闘の舞台』は、俺が認識できる形で死亡したことで解除される。
 ──そして、外部で放たれていた攻撃がこちらに飛び込んできた。

「──『星護結界』」

「これが狙いか……!」

「いえいえ、そのようなことは」

 基本的に狙いは俺だが、流れ弾が容赦なく『修羅』を襲う。
 星敵のスペックで放たれるそれは、一発一発が核兵器レベルの壮絶さだ。

「さて、お二人目を誘いますので、今回はこれまでということで」

「…………くっ、これ以上は無駄か」

「そのように判断していただけるのならば、ぜひとも」

「次は、必ず仕留めてみせる」

「ええ、お待ちしておりますよ」

 二種類の限界突破は、やはり無茶をしていたのだろう。
 渋々と言った表情ではあるが、『修羅』はこの場から離れていく。

 さて、次に迎える星敵を見つけて……戦うとしますか。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

元平民の義妹は私の婚約者を狙っている

カレイ
恋愛
 伯爵令嬢エミーヌは父親の再婚によって義母とその娘、つまり義妹であるヴィヴィと暮らすこととなった。  最初のうちは仲良く暮らしていたはずなのに、気づけばエミーヌの居場所はなくなっていた。その理由は単純。 「エミーヌお嬢様は平民がお嫌い」だから。  そんな噂が広まったのは、おそらく義母が陰で「あの子が私を母親だと認めてくれないの!やっぱり平民の私じゃ……」とか、義妹が「時々エミーヌに睨まれてる気がするの。私は仲良くしたいのに……」とか言っているからだろう。  そして学園に入学すると義妹はエミーヌの婚約者ロバートへと近づいていくのだった……。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

処理中です...