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DIY、監獄ライフに勤しむ
監獄生活 その06
しおりを挟む二重の限界突破を使う『修羅』に対し、降りた[アライバー]を『SEBAS』に操縦してもらうことで二対一の状況に……外部の干渉もかなり激しいし、長くは持たない。
「──!」
「──!」
会話をする余裕すら無くなり、ただ相手よりも先に攻撃を当てることに集中する。
何もしていない俺だが、アイテムを使ったり外部の情報を調べたりと大忙しなのだ。
(にしても、向こうもずいぶんと粘るな)
俺と[アライバー]、二人分の模倣武人の攻撃を『修羅』は捌き切っている。
二重の限界突破の効果は凄まじいのか、傷一つ負っていない……が。
「……くっ」
「おや、時間切れですかね」
先に使った謎の限界突破の方は分からないが、エフェクト付きの方が失われた。
当然スペックも落ち、だんだんと傷を負い始める。
それでも目を慣らしたからか、先に動くことで遅れて攻撃に対処していた。
致命傷は回避、軽傷で済むものだけをあえて受けてこちらに反撃してくる。
「ですが、これで──」
「ッ!?」
「二重──『抉間靠』!」
空間を越えた貼山靠。
俺と[アライバー]で同時に放つことで、逃げ場を封殺する鬼畜仕様。
さすがの『修羅』も空間ごと攻撃する前提のこれは捌き切れず、モロに直撃。
かなりのダメージとなったようで、膝をつく『修羅』。
「さて、そろそろ終わりとしましょう」
「! ま、待て!」
「残念ながら、死合う覚悟は初めから持ち合わせておりませんので……」
向こうは星の復興のため、いろいろと真剣に挑んでいたようだが。
俺は殺す覚悟も無いし、殺される覚悟……の方はあるが、それはそれで献身ではない。
「ということで──結界解除」
「っ……」
展開していた『死闘の舞台』は、俺が認識できる形で死亡したことで解除される。
──そして、外部で放たれていた攻撃がこちらに飛び込んできた。
「──『星護結界』」
「これが狙いか……!」
「いえいえ、そのようなことは」
基本的に狙いは俺だが、流れ弾が容赦なく『修羅』を襲う。
星敵のスペックで放たれるそれは、一発一発が核兵器レベルの壮絶さだ。
「さて、お二人目を誘いますので、今回はこれまでということで」
「…………くっ、これ以上は無駄か」
「そのように判断していただけるのならば、ぜひとも」
「次は、必ず仕留めてみせる」
「ええ、お待ちしておりますよ」
二種類の限界突破は、やはり無茶をしていたのだろう。
渋々と言った表情ではあるが、『修羅』はこの場から離れていく。
さて、次に迎える星敵を見つけて……戦うとしますか。
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