虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、監獄ライフに勤しむ

監獄生活 その04

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 アトランティス世界出身の『修羅』。
 二丁拳銃使いのその男こそ、俺と最初に戦う星敵だ。

「……アトランティス世界の銃、だからこその性能でしょうか」

「自動照準、と思うか? さて、実際の所はどうだろうな」

 頭から離れない単語──アトランティス。
 これまで同様、現実でも聞き覚えのある大陸の名前……だがそれらはすべて、現実において存在しないはずのもの。

 中でも一、二を争うレベルで知られているであろう大陸こそアトランティス。
 今でも海に沈む遺跡、進んだ技術を持っていながら原因不明に滅んだとされる。

 真実が虚構か、それは分からない。
 だが人々の幻想の中に、その名は息づいている──進んだ技術を有する超大陸、それこそがこの世界におけるアトランティスだ。

「……なぜ、失われたので?」

「それも含め、私はこの戦いを経てすべてを知ることができる」

「それは、負けられませんね」

「ああ。だから、早く討たれてくれ!」

 そう言って、どんどん弾丸を撃つ。
 どれだけ回避しても弾丸は追ってくるし、『修羅』もまた直接攻撃してくる。

「どこに居ても問題ない弾丸、そして体術による肉弾戦ですか……『修羅』、その名に相応しい暴れっぷりですね」

 俺もまた、[アライバー]に搭乗して対抗していた。
 だが剥き出しの体を容赦なく襲われ、機械の膂力は体術によって捌かれる。

 途中から『SEBAS』が『偽・武神』プログラムで対処し始めたのだが、アレは平時想定のプログラムなので巨人サイズに調整するため時間が掛かっていた。

「……早々に蹴りを付けなければ、些か不味いようだな」

「どうやら、時間は私の味方のようですね」

「さて、どうだろうな」

《旦那様……外部からの干渉により、結界の維持可能時間が減少しております》

《マジで!?》

 せっかく決め顔で言ったのに、前言撤回というかフラグ回収が早過ぎる。
 現在発動中の『死闘の舞台』、これにより俺と『修羅』は隔離中なのだが……。

 魔導世界ではどうにかなっていたが、こちらに居るのはそのすべてが星敵。
 概念干渉やら特殊な能力を駆使して、強制的に結界を剥がしているらしい。

 この世に絶対や完璧が存在しないように、『死天』が生み出すアイテムも不完全だ。
 特に今回のアイテムは、死の因果が直接的では無いので尚更である。

「……このままでは、私一人で倒したことにはされないであろうな。であれば、全力を使い早急に片を付ける!」

「さすがにそれは勘弁したいですね……もう少し、楽しみましょうか!」

 まだまだやりたいことは盛りだくさん。
 仕込みには、もう少しだけ時間が掛かるのだよ。

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