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DIY、監獄ライフに勤しむ
星敵討伐 後篇
しおりを挟む改めて星敵について『騎士王』に習った。
そのうえで、俺を星敵として討つ方法を聞いたのだが……何やら雲行きが怪しい。
「まずそもそもの話だが、生き物はいづれ死ぬものだ。絶対に滅ぼせぬことの無い存在が居るかはともかく、それを討てというような難題が出されたことは無い」
「まあ、当然だろうな。前からずっと考えてるけど、休人は理不尽だしな。死んでも死なない、何をやっても体を再構築する厄介極まりない存在だし」
「そうなのだ。休人が『超越者』に手を出した結果、凄惨な目に遭ったという話はいくつか聞いてはいるが……その当事者もまた、存在を抹消されることなく生きているのだから末恐ろしいものだ」
「…………死なないからな、無謀でも蛮行でも何でもできるんだよ。俺たちって」
少なくとも、[ログイン]を続ける限り俺たちのアバターは永遠に認識され続ける。
また、[ログアウト]後もアバター自体は残るので……いろんな問題があるんだよな。
「星は『生者』と討てと告げたが……具体的な内容について、語ることは無かった。ある意味、建前のようなものだな」
「あー、少なくとも放置しているわけでは無いよってことか。他の世界との兼ね合いとかもあるし、ひたすら否定し続けるのも難しいわけだし」
その辺は『SEBAS』からも聞いているので、理解できる。
結局のところ、星という超越した存在でも同格とのシーソーゲームは避けられない。
俺を『超越者』にしたのは、失名神話の神である死神様。
たとえメインの神話として居らずとも、冒険世界の逸脱者にした責任が存在する。
死んでも死なない、故にこれまでの法則が通用しない虚弱な強者。
……我ながらずいぶんと、変な属性を有した物だ。
「『生者』という例にこり、世界ごとに休人から逸脱した存在を生み出すのは避ける方向になったらしいがな……それはそれ、世界ごとに『生者』を滅ぼす策を試すだろう」
「わーお、刺激的。というか、せめてこう星同士で意見を纏めておいてほしいんだけど」
「ふむ、たとえば?」
「そうだな……いっそのこと、俺みたいに問題扱いされた連中を一か所に集めて閉じ込めておくとか。まあ、期限付きで。悪い奴ほど長くて、嫌なら脱獄すればいい。ただし、同じく星から派遣された連中が妨害する」
「…………ふむ、少し興味深いな」
創作物から引っ張ってきたアイデアだが、こちらの世界でも共通の知識から単語を挙げるなら──『蟲毒』。
俺は『プログレス』を持つ連中がそこで強い渇望を育てることを期待できるし、星々は厄介極まりない連中に蓋ができる。
ある意味、WinWinと言っても過言では無いだろう。
──あとはこの意見、どう星に提案するかなんだけども。
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