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DIY、監獄ライフに勤しむ
星敵討伐 中篇
しおりを挟む何やら星が本格的に、俺を殺す策を模索しているらしい。
改めて『騎士王』から、その辺について尋ねることに。
「──そうだな、まずは星敵について語るべきだろうか」
「何となく察しがつくんだが……要は、星に仇名す存在ということだよな?」
「うむ。故に星敵、それを討つ使命が星に住まうすべての存在に与えられる。そして、その存在にはいくつか種類が存在する」
曰く、俺のような星敵認定はかなり特殊。
本来であれば、星によってきちんとした基準で定められているようだ。
「本来、星敵は稀に誕生する。星は時に生きとし生きる者に試練を課す。そちらの場合、星が記録した強大な個体を再生させる、あるいは危険因子となる個体に星約を結ばせ力を与える代わりに星敵とする」
「ん? 星敵って、普通はそういうヤバいヤツが担当するのか……それって本当に、大丈夫なのか?」
「ああ。星約を結ばせると言っただろう? それにより、力を得ても約定の刻が訪れるまでは封印に近い状態となる。そして、それゆえにこれまでの活動はほぼ不可能だからな」
「なんか、悪徳商法の詐欺みたいだな……別にいいけど。それが普通だとして、俺みたいな場合はどうなんだ?」
「本来はそうして力を与える際、同時に能力なども付与するらしいな。『生者』は特殊例の中でも特殊例な方だが、魔物の中で試練に出るような個体が生まれつき存在する場合があるようだ」
思い出すのはやはり【魔王】。
他の世界にもいちおう存在はしているようだが、休人たちも冒険世界の【魔王】が一番厄介だと語られているとのこと。
「さて、『生者』の場合を話そう。分かっていると思うが、『生者』には特殊な能力も追加のリソースを与えられない。ただ認定を与え、それを討伐する。その分、報酬の方にリソースが割り振られているのだろうな」
「まあ、何でも叶えてくれるっていう売り文句だし……俺に対するメリットが、何一つとして無いこと以外はいいと思うぞ」
「そう言うな──『生者』、其方の状況こそが星がもたらした恩恵そのもの。それ以上を欲することは、【強欲】と言えよう」
「…………ふーん、まあいいけどさ。わざわざシリアスモードでサンキューな。俺は俺を貫く、それを見逃してくれているだけでも充分ってもんだよ」
はてさて、星敵については分かった。
いつの間にやら俺を討伐する件はまだ教えてもらっていない。
「で、そんな星敵になった俺はどうやって殺されることで報酬が与えられるんだ?」
「……そうなんだ、そこが問題なのだ」
おや、雲行きが怪しい。
まさかこれ、想定されていないのか?
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