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DIY、監獄ライフに勤しむ

獲得物確認 中篇

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 冒険世界 ???

 アイスプルに結界を張り終えた俺は、今回の旅で得たモノを確認する。
 そして、そのうえで交わした約束を果たしに向かった。

「お久しぶりです、『愚かな賢者』様」

「うむ……よくぞ生きておったな」

「いえ、何度も死んではいますがね。ですが私が死のうとも、契約は生きたまま。我が名『生者』に掛けまして、そちらの方はきちんと履行させていただきました」

「死してなお、とはよく言ったものじゃ……がその辺はどうでもよい。それよりも、成果の方を見せてもらおうか──『騎士王』、ここからは儂らの話し合いじゃからさっさとどこかに行け」

 そこは『騎士王』が密談などに使う謎の閉鎖空間。
 前回同様、そこには『愚かな賢者』が待機しており契約の履行を求めている。

 不服そうではあったが、契約だからと納得し『騎士王』は去った。
 残されたのは二人、俺たちは契約について再度確認を取る。

 魔導世界への来訪、それは一筋縄ではいかず『愚かな賢者』を頼ることになった。
 その対価として、俺が出したもの──

「『八大星魔』の術式、ちゃんと得ておるのじゃろう?」

「『真海の主』様のものを。ただ、当人の術式ではありますが権能を再現などはできておりませんよ」

「それができるなら誰も苦労はせんよ。可能なモノも多いが、そちらはどこまで行っても猿真似よ。この世界の異端の【魔王】、奴のような異常者でも無ければのう」

 冒険世界の【魔王】。
 当代の人物は特異な存在で、他者の権能を奪うだけでなく存在を複製することで条件さえ満たせば過去の人物でも再現可能になる。

 そのため、俺の権能を含め『超越者』の多くが権能をパクられていた。
 ……だが一度奪ってきちんと返上することで、揉め事を起こさない辺りがさすがだ。

 過去には実際、過去の『騎士王』から制裁が下された【魔王】も居たらしい。
 そこを弁えれば、生かしてもらえると分かる頭脳もまた厄介なところだろう。


 閑話休題いろいろチートきゅう


 さて、そんな【魔王】という例外を除いて権能を再現する方法──術式による限定的な再現もまた、人々の中で試みが何度も繰り返されているやり方だ。

 術式による可能性は無限大。
 ならば星々が人々に与えたオンリーワンを手に入れることもまた、可能なのでは……人の果てしない欲が行きついた末路。

 当然、『愚かな賢者』もまたそれを試していることだろう。
 俺も俺で試しているし、『騎士王』も似たようなことを言っていたことがある。

「『真海の主』は文字通り海の主じゃ。あらゆる海を創り上げる……故に、その触媒となる海を欠かすことを避けていた。そして、その策を奪ってきおったな?」

「──“真海支配”、これが『真海の主』様から得た術式です」

 何も無い場所から生み出された海水。
 それを『愚かな賢者』は、宝物でも見るかのように目を輝かせて眺めるのだった。

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