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DIY、偽装工作に走る
魔導世界密入 その39
しおりを挟む気付けば結界の外は海の底。
どうやら、『八大星魔』同士の大規模な戦いの余波らしい。
結界を解除して脱出しても、襲い掛かる水圧は計り知れない……だが、それでも出なければいけない理由があった。
「……この結界、外部から一定以上のダメージがあると解除されてしまいます」
「──」
『それってどれくらい?』
「そうですね……『八大星魔』レベルの方々が、力を合わせて放つ術式を数十回分ぐらいでしょうか? あくまで、上の光景を見ての想定ですが」
「──」
『……あんまり参考にならないだって。私もそう思うよ、まだ周りに気を遣っているぐらいだもん』
そう、『死天』は運営が拵えた特別な能力ではあるが、決してチートでは無い。
限りなく破壊不能オブジェクトに近い結界が創れても、そのものでは無かった。
たとえば、同格の『破天』が来ればすぐに壊せるし、それこそ『騎士王』が全力全開で星の武器を振るえば一発で砕けるだろう。
そんな想定をしていたからこそ、二人が俺の言を否定するのもよく分かる。
問題は壊れた後、どのように脱出するかなのだが……まあ、対策は準備済みだ。
「水の中でも活動できるアイテム、というのは用意しているのですが……問題は、その水が『真海の主』様が支配している場所ということなんですよね」
「──」
『多少なら誤魔化せる、だって』
「ありがとうございます。では、さっそくですがご協力お願いします」
そんなこんなで、しばらく擦り合わせを済ませてから脱出開始。
一先ずは設定を弄ってから自害、内部でどちらかが死んだことで結界が解除された。
「──『いや』」
二文字の神言を『界樹の神子』が告げる。
その内容は『いや』、彼女の体に水はいっさい近づかず──濡れることの無い新たな結界が展開された。
その間に渡しておいた球体型のアイテムを使用、そこから空気が溢れ出て瞬時に内部へ広がっていく。
俺はそれを間借りして、内部で死に戻りを実行──『いや』の効果は続いているので、ギリギリ端っこで待機だ。
「──」
『それじゃあ、行っくよー!』
神霊がノリノリで叫び、『界樹の神子』が目を閉じ祈りを捧げる。
すると海の底──もともと地面だった場所から、突如として巨大な根が出現。
その根っこ──おそらく世界樹の根──が俺たちを掴むと、そのまま海上へと運ぶ。
この際、阻むように途中から渦が襲ってくるのだが……そこは俺の仕事。
「──“ブラッシュダウン”」
出る前にインストールし、準備を整えていた『ワイズマンブラッシュ』。
その一つで、対象の術式を強制的に改造する“ブラッシュダウン”を発動。
改造は改造でも、改良ではなく改悪。
制御不能になった渦は、同じく近づいてきていた渦にぶつかり状況は混乱。
その間に俺たちは根っこに守ってもらいながら、海上へと浮上──そして、そこで見たものは。
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