虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、偽装工作に走る

魔導世界密入 その36

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 強大な影響力(物理)のせいで、会話ができない代わりにそれを代弁してくれる神霊が現れた──それにより、ようやく真面な交渉ができるようになった。

『つまり、結界の強化がしたいんだね? それも、霊脈系の媒介術式がご所望だと』

「そうですね。完璧にはできずとも、有象無象の侵入は拒める代物が良いですね」

『むむむ……たしかに、できなくはないね。世界樹は本来星を守護する柱、だからその管理者であるこの子たちの一族にはそれに関する術式が伝わっている』

「! 可能でしたか……」

 アイスプルの神・世界樹も、たしかに星に関する機構がいくつか備わっている。
 そのため、いろいろと対策を講じてはいるが星への侵入は実はかなり困難だ。

 ……ただし、冒険世界に『愚かな賢者』が来たように不可能ではない。
 そのうえ、今回気にしているのは偽装大陸から外部に出ないようにするもの。

 外側から内側へ入ってこないようにはできるだろうが、内側で自由に暴れ回られるのを阻止することができない現状──それを防ぐべく、今回は来ているわけだ。

『で、魔導世界は十個に分かれているでしょう? 今はそれぞれが繋がっているけど、昔はそうじゃなかった。特に世界樹のある第五魔道は侵入不可能な場所だったんだよ』

「…………」

『そうそう、お察しの通り今はその術式を星全体に使っているから入るのも一苦労。だけど、その内側ならある程度自由に移動できるようになったってわけ……これも、星からのお達しってヤツだね』

 星──つまり魔導世界が、世界樹を利用しているわけだな。
 そうした話を聞くと、わざわざ交渉に応じてくれた理由も浮かんでくる。

「世界樹の素材……今回私はそれをご提示したわけですが、それは星の意に背いてでも得たいものだったと」

『大正解~! 多少の優先権はあるけど、今じゃ星の共有財産。コツコツ溜めてはいるけど、大規模な術式を発動するにはまだまだ足りなかった……そこに君が来た!』

 ビシッと俺を差す神霊。
 世界樹の素材を媒介に、星からすればマイナスになるナニカをしようとしていると……そりゃあこの世界の人には教えられないか。

「──」
『ふむふむ。結界の術式、その強化自体は協力するよ。ただし、それに見合う品質の世界樹由来の素材を──』

「ええ、ではこちらをどうぞ」

「──『えっ』!?」
『え゛っ!?』

「──げほっ」

 うちの神・世界樹で採れるアイテムはかなり種類が多い、【大富豪】で星全体を強化してからは特にだ。

 神・世界樹由来のものだけでなく、派生型の『清・』や『心・』な世界樹由来の素材も取り揃えている。

 これには『界樹の神子』もビックリ、そしてその衝撃は物理的な力を帯びて、俺を結界の端まで吹き飛ばすほどだ……うん、纏う結界の設定を弄っていなかったら危なかった。

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