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DIY、偽装工作に走る

魔導世界密入 その34

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 世界樹の根を揺すり、アイテムを強請ってくる『八大星魔:界樹の神子』。
 念には念を入れ、結界越しにアイテムを提供する。

「……ところで、なぜ彼女は『巫女』ではなく『神子』なのでしょう? 対面する前は男性だから、と思っておりましたが」

「さてな、それを理解することもまた貴公自身で行うべきことだ」

「そうですか、たしかにそうですね」

 質問に答えない『覆魔殿』だが、たしかに彼の言う通りなのでそれ以上は語らない。
 アイテムが回収されてしばらく、先ほどまで結界を覆っていた根っこが下がっていく。

 そして、世界樹の洞から『界樹の神子』が出てくる。
 彼女はそのまま結界の前に立ち──なぜかそこで、土下座を披露した。

「え、えっと……」

「くっ、はははははっ! このようなことをさせるとは、いったいアレは何だ! やはりウワサ通り、面白い男だ!」

「ウワサ、というのも気になるところではありますが……一先ず頭を上げてください! いろいろと、周りの目も気になります!」

 元より、EHOの原人たちは美男美女揃いであらう。
 そんな中でも、特別な存在たちは一際美しい……レベルなどが原因らしいが。

 まあそんなわけで、トップクラスの美貌の持ち主が突然パッとしない男に土下座披露。
 これを見た時、休人や原人がどう思うかなど知れたこと……うん、お祭り騒ぎだ。

「死んで解除っと──『死闘の舞台』」

 一度『覆魔殿』と俺用に創っていた結界を解除、今度は俺と『界樹の神子』を指定して再展開。

 先ほどは余裕が無かったので周囲から見える初期仕様になっていたが、今回は周りが気になるからこそ周囲を意識して外部から見えない仕様で構築した。

 休人専用の[称号]の効果で生み出されるモノなだけあって、[PvP]同様の設定が行えるとのこと──とりあえず、視界同様に音声の方も遮断しておこう。

「……」

「先ほどまで展開していた結界に、周囲への情報漏洩を防ぐ仕様を加えたものです。残念ながら、特別な権能のようなものですので術式化は見込めないのですがね」

「……」

「ああ、申し遅れました。私は『生者』、ご存じかと思われますが挨拶をさせていただきます。『界樹の神子』様、でよろしいでしょうか? 交渉に応じていただき、誠に感謝申し上げます」

 相手が無言なのだが辛い。
 どうしたものかと思っていたが──パクパクと口が動き出す。

「『あ』──」

「ッ……!」
《旦那様!》

 声が聞こえた、そう思ったその瞬間に俺は死んでいた。
 たしかに普段通りではある……しかし、今回は異常だ。

 なぜなら『八大星魔』を相手取るということで、そちらの対策も念入りにしていた。
 だというのに、それらすべてを無視した干渉…………ああ、だからなのか。

 あえて何も語らなかった『覆魔殿』、口を開かないでいた『界樹の神子』──そして、二つ名にして権能名でもある『神子』。

 これが物語っていた、先ほどの攻撃ならぬ口撃が何だったのかを。

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