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DIY、偽装工作に走る
魔導世界密入 その29
しおりを挟むついに『八大星魔』を捕捉した。
こちらとは霊体越しの接点なので、まだバレては居ない……それでも、その存在を起動した『プログレス』に記録できた。
「これで随時、『タクティクスボード』で把握できるな……少なくとも、向こうに隠れる気が無ければだけど」
その辺は発現者の認識なのだろう。
向こうが姿を晒し続けている限り、たとえ監視の目を向けずとも効果範囲にさえいれば場所の把握が可能だ。
「問題は同じ『プログレス』持ち……っと、仕込みをしておこう──“鍛造錬産”」
錬金術をその他の生産能力と組み合わせるという、とある休人が編み出した新技術。
錬産術──その中でも、鍛冶系能力と組み合わせた物を発動させた。
周囲に展開される無数の刃。
地面に含まれる成分を抽出、収束、変質させることで作り上げられたそれを侵攻してきた者たちに向けて放つ。
魔導士といっても千差万別、自然現象を生み出して防ぐ者や自己強化を行い自分の体で弾く者なども……『八大星魔』たちは何もせずとも、周囲の魔導士が対処している。
「基本的に、休人は死んでも死なないから対処が雑になる。もちろん、死んだら参加していられる時間が短くなるから可能な限り防ぐだろうが……それでも心のどこかで、自分は大丈夫だという認識がある」
《捕捉完了──マークによる識別を可能にしました。情報は随時更新されます》
「だからこそ、力の使い方を間違えるんだよな──“虚器・千械”」
もう一度、武器を展開する。
先ほどと同じく触れるのは地面、俺の方をすでに捕捉している連中も居るようで、遠くから近づいてくるのが確認できた。
動く大半が休人、原人も居るには居るが一先ずは様子見といったところ。
俺の方に接近してきたところで──もう一つ仕込んだ技を起動。
正式名は『虚工術』、それは生産世界の加工ギルド長の編み出した技術。
──そして、先ほど行使した錬産術のオリジナルとも呼べる代物だ。
錬金術の代わりに、より高難易度な魔力具現化という技術が必要にはなる。
それでも、魔力と器用さだけは高い俺なので発動は割と簡単に出来た。
「さーて、上手く騙されてくれよ」
地面から──そして、超高度で同時に生成される無数の武器。
魔力感知が届かない遥か先、迷宮の限度となっている高さからの不意打ち。
錬成と言えば地面、あるいは空間を捻じ曲げてというお約束を知っているからこそ、休人の中でもそちらの分野を把握してればしているほど騙されやすいフェイク。
──俺と邂逅するその直前、勢いよく降り注ぐ武器の雨が彼らを襲うのだった。
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