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DIY、偽装工作に走る
魔導世界密入 その26
しおりを挟むその日、魔導世界全体に通達が下った。
≪条件を満たしました──現時点を以って、ワールドクエスト『星の理:■■』が開始されます≫
≪現在魔導世界に居るすべての存在に、特殊状態『悪滅』が付与されます≫
≪これにより、秘匿迷宮『求まれぬ道』の位置を把握、侵入することが可能です。また特殊状態『悪滅』保持者同士による被弾は発生しません≫
≪討滅目標──『■■』≫
≪星の導きを受け、探求者は魔を進む──クエスト開始です≫
◆ □ ◆ □ ◆
観光中、突然起きた衝撃。
どうやら迷宮の内部にある迷宮で、何かが起きたらしい。
《旦那様、重大な事態が発生しました》
「…………とりあえず、場所を変えるか」
普段通り隠れ潜む……その前に、俺の前に数字の羅列が広がり──人が現れる。
高度な認識阻害によって姿を捕らえられない、この迷宮の主『必要悪』だ。
「──」
[どうやら、これは仕組まれていたようだ。こちらには情報を伝えぬまま、星が理を以って動き出した]
「ええ、そのようですね……『悪滅』、悪を滅ぼす大義があるかのように」
「──」
[もともとここは、そういった契約の基に成り立っていたようなものだ。強制的に成長を促すためのものだったが……今回は明らかに異常だ]
「申し訳ありません……理由はおそらく私に在るのでしょう」
すぐに[掲示板]を見れば、魔導世界関連のトップに挙がっていたワールドクエスト。
内容は『求まれぬ道』への侵入、そして内部に居る『■■』の討滅。
……討伐じゃなくて討滅な辺りに本気度を感じるが、問題はそこでは無い。
伏字の文字数は二、『必要悪』ならば三文字であろうそこに答えは記されていた。
「誤表記、なんてこと世界はしないでしょうね。それでも伏せたのは、星同士で問われた際に騙るためのものですか」
「──」
[知っていたか、ならば話は早い。目的は間違いなく『生者』、そして差し向けられる手の者の中には当然──]
「『八大星魔』、ですね」
おそらく『必要悪』、『愚かな賢者』とも違う六人の内の誰かだろう。
理由は単純、メリットの話だ……いや、それを考えると『愚かな賢者』もありそうだ。
「失礼ですが、今ここで私を討てばこの問題は収束するのでは?」
「──」
[いや、奴らは止まらない。たとえ『生者』が居ようと居なかろうと、いづれはこうなりここは荒らされていた。それならばいっそ、協力した方が良い結果を得られそうだ]
「良い結果、ですか……私にできるのは精々支援ぐらいですよ」
「──」
[期待しているぞ]
そう告げ、再び転移した『必要悪』。
残された俺は……とりあえず、隠れながら情報収集に徹することにした──狙いが俺である以上、確認事項がたくさんあるのだよ。
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