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DIY、偽装工作に走る
魔導世界密入 その24
しおりを挟むしばらく滞在することを、『必要悪』に求め──受け入れてもらった。
そして、それはつまり密入界した魔導世界での活動を意味している。
「──はい、修理は完了です。どうやら、回路の方が一定の行使で焼き切れていたみたいですね。職人の方に騙されたわけではなく、術式の強度がそれだけ強過ぎただけですよ」
「おっ、マジか。なら、殺さない方がいいみたいだな」
「……無茶はいけませんよ。それより、こちらのプランはいかがなさいますか?」
「おう、お前さんに任せてみるよ」
「畏まりました。それでは、翌日またお越しください。暫定的な術式を作り上げておきますので、そちらをお試しください」
さて、俺が居るのは第三魔道──魔装関連の領域を模した場所。
そこで日々、壊れた魔装を修理する仕事に従事していた。
修理に関しては基本的に無償、ただし魔装内の術式を閲覧させてもらっている。
加えて、相手次第ではあるがその術式に手も出していた……こちらは全部じゃないが。
「お陰で魔装の知識は増えたな……基本的に:DIY:のヤツは基礎的なものだし、その辺はやっぱり他の神と担当が重なっているのかもな」
《これまでに得てきた知識も、あくまで応用させての利用でした。ですが、魔装は前提として媒介を用いて使うことに特化した術式。その辺りが効果の差に出ているのでしょう》
素人が下手に弄ると、まったく機能しなくなる超緻密な術式。
魔導世界ではそれが主流になっているからこそ、他の世界の追随を許さない。
物理的な生産関係──魔装本体の修理を主に行っているが、術式関係は大変だ。
器用さでごり押しして直しているが、問題は術式に俺が干渉できないこと。
だからこそ、術式を別で作ったうえで他の者にやってもらう形になっていた。
これが上手く嵌まっているからこそ、とりあえず来客は絶えることなく続いている。
「俺は昔の術式が見れるし、改良したより優れた術式を施す側は見れる。提供者は普段より若干手間だが、その分魔装が強化されるから文句は無い……うん、完璧だな」
犯罪者が多いので少々荒っぽい対応をされてしまう……が、まあその時はこちらも相応の手段に出ているので問題無い。
「さて、そろそろ店仕舞いにして観光としゃれこみますか。本当、『必要悪』様様だ」
いつも通り提供した万能薬と蘇生薬。
まあ、どちらも薄めてはいるが全回復はするし蘇生率もかなり高いため、大して疑われること無く交渉は成功した。
結果、ここに居る間は『必要悪』の最高幹部的なポジションで自由に歩けている。
ただし手を出すのも自由、むしろそれが推奨されている……営業中は別だけどな。
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