虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、偽装工作に走る

魔導世界密入 その20

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 神殿に潜り込めた俺。
 信仰について気になったので確認してみたところ、まったく知らないオリジナルの神話が登場した。

「まあ、名前で何となく分かるけど……魔導神話だっけ? それ、どういう形なんだ?」

《旦那様のご想像通り。魔導神を唯一の神と讃え、信仰しているようです。曰く、遍くすべての概念は魔導神の御業によって創り出された。ゆえに、魔導を知ることで人は万物を作り上げることができると》

「そりゃあまあ、何とも盛大な……俺としては、無理だと思うけどな」

 他でもない、異なる神話における主神──それも創造神様の御業を借り受けている俺だからこそ、それを言い切れる。

 その御業──つまり:DIY:だが、設けられている制約は創造神様でも同じこと。
 要するに、動植物の創造には制限があるし創造そのものを異なるモノには活かせない。

 後者はともかく、前者は魔導神とやらの御業にとっても同じことのはず。
 つまり、魔を操る神である以上、そこに縛りが生まれ命を育むことはできないのだ。

「やれて魔力でできた使い魔程度……それを昇華させて、本物の命にできた、とか?」

《ある神話において、人は泥から生まれた存在となっております。泥を人型に、そして動かす糧は魔力に。そうして人が誕生したと認識が働けば、それもまた御業の一つとして記載されるのでしょう》

「魔力をたっぷり持つ人たちが、挙ってそれが真実だと……事実だと捻じ曲げれば、後世においてそれこそが史実だったと記されるわけだ」

 と、ここで話は締めくくる。
 魔導神話における結論がどうあれ、俺が信仰するのは後にも先にも失名神話の神々だけだからな……あと一柱、信じる神は居るが。

 神殿の中を捜索していると、たしかに巨大な神像が一つ。
 それがおそらく魔導神なのだろう……拝むことはせず、あえてスルーした。

 罰当たりと思われそうだが、EHOにおいてはペナルティが存在している。
 寛容な神話なら問題無いのだが、たまにそれが拝まれた側から発生するからな。

 失名神話自体は全然気にしていないが、魔導神話がどうなのか分からない。
 俺が安心して拝めるのは、実際に顔を合わせた神々ぐらいだな。

「……あとは、何となく倭国の神様ぐらいかな? こう、今までの流れ的にThe・日本みたいな神様な気がするし」

 確認はできていないが、割と当たっていそうな気がする。
 少なくとも、冒険世界で【千手観音】という職業が存在するぐらいだしな。

「…………あれ、全部回ったけど他に神像が無かったな。失名神話の皆さんはともかく、ケルト神話系のモノはあると思ったのに」

《──小型のドローンで調べたところ、どうやら他にも神殿があるようですね。ただ、規模が小さく気づけなかったようです》

 そんなこんなで、神殿探しは続く。
 のんびりしている暇は無いが、やっぱりご挨拶はしておきたいからな。

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