虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、偽装工作に走る

魔導世界密入 その18

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 ついに迷宮『求まれぬ道』の中へ。
 不可思議な光景に目を奪われていた俺は、どこからか聞こえてきた声の主によって転移魔法を受け──

「…………懐かしいなぁ、こんなこと前にもあったよな」

 ──その場に残っていた。
 残念ながら、俺の体は虚弱過ぎるがゆえに通常の転移魔法を受け付けない。

 なので俺用にカスタムする、あるいは俺ではなく俺の周辺ごと転移させるなどの対策を取らなければダメなんだよな。

「『SEBAS』」

《すでに──『インビジブルクローク』、及び『マナキャンセラー』を発動中です》

「すでにバレている以上、干渉そのものはされるだろうけどな。でも、魔力を拒絶している現状で術式は掛けられないだろう」

 魔法薬を混ぜて、完全な透明化を可能にしていた『インビジブルクローク』。
 しかしその欠点として、すでに知覚されていると無効化されてしまうというものが。

 声の主が何者であれ、先んじてこちらを把握していた以上知覚はされている。
 だからこそ、魔導士対策として優れた魔力拒絶の『マナキャンセラー』を使っていた。

「『マナキャンセラー』、便利だけどその分デメリットも酷いんだよな……まあ、俺には関係無いからいいんだけど」

 展開できる規模が極端に狭く、かつ消耗する魔力が膨大。
 そして、自分自身が魔力を体外に放出できなくなるというのが起動条件だった。

 実際の使用者を見た時には、規模を増やすための『プログレス』と連携して使っていたが、そうでもしないと難しいわけだ──やはり万能の能力は無いわけだな。

『──、──』

「あー、何か言ってきているな。ただ、術式が使われているから分からない」

 改めて[ログ]を確認したところ、先ほどの声も術式だと発覚。
 だからだろう、俺の周囲には魔力が存在していないので再度送られた言葉は届かない。

「こっちの言葉も、たぶん魔力を経由して傍受しているだろうから届かないんだろうな。すまんが、適当に歩かせてもらうぞ」

 光景に目を奪われていたが、考えてみればこの迷宮は俺にとって大変都合が良い。
 なんせ、わざわざ『八大星魔』に会わずとも魔導世界を擬似的に楽しめるのだから。

 問題となるのは、この場所を支配している『八大星魔:必要悪』。
 声の主がその人その者である可能性も高いし、バレてはいるんだよな。

「一番近いのは……神殿みたいだな。失名神話の神様、崇められているかな?」

 懇神会で知ったのだが、どうやら失名神話の神々はいろんな世界に居るようで。
 詳細は教えてもらえなかったし……とりあえず、見て確かめよう。

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