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DIY、偽装工作に走る
魔導世界密入 その12
しおりを挟む万能薬を使って、契約に殺されかけるチンピラたちを助けた。
契約違反に追い込んで、それを治す……ほぼマッチポンプとか言わないでください。
「──なるほど、情報提供感謝します」
「な、なら!」
「ええ。私はこれ以上、何もしません。どうぞ、お好きなように」
そこまで期待していなかった情報だが、想定よりはマシといったところか。
本来であれば死ぬような扱い、だからだろうほんの少しだけ情報が与えられていた。
俺から遠のき、逃げ去っていく連中。
彼らが語る『あの方』、そこを目指すことはもう無いだろう。
「──『求まれぬ道』、そして『必要悪』。なるほど、それが『八大星魔』最後の存在と領域か」
チンピラがなぜそれを知っているのか、そしてなぜ休人がそれを知らないのか。
その辺はいろいろと気になるのだが、俺には分からない。
「だから、答え合わせをしたい──そっちの方はどうだった?」
《はい。たしかな情報を得られました。遅れてしまい申し訳ありません》
「いいよ、自分でちゃんと情報を得る機会も得られたし。だからこそ、適当なやり方で得られる限界を知りたい」
《畏まりました》
俺の下へ戻ってきた『SEBAS』、間違いなく俺が得た情報以上のものを手に入れているだろう……正当な(?)手段で得ているのだ、これで確証も得られるな。
◆ □ ◆ □ ◆
──迷宮『求まれぬ道』。
この世界のどこかに存在している、だがどこに在るかは分からない迷宮らしい。
常人には立ち入ることはできない、休人もまた見つけられていない場所だ。
「で、それこそが『必要悪』という『八大星魔』の居る場所と。ちなみに、術式云々は何か分かっているか?」
《把握できているのは、特定の分野の術式に囚われないこと。犯罪者などを集め、優れた魔導士への対抗手段を積み上げているとのことです》
「魔導士の世界で、魔導士に対抗する手段をねぇ。それこそ、『必要悪』としていろいろやっているのか」
《おそらくは》
ふむ、犯罪者も受け入れる領域。
おそらくというか確信だが、『八大星魔』の領域である以上、最高の術式改良の術式も存在しているはず。
「そして俺は、ある意味最大級の犯罪者。そりゃあ星の意に反して、いろいろと行動しているわけだし。けど、受け入れてくれるかは微妙だなぁ」
《『必要悪』の立ち位置にもよりますが、星に協力的な存在であれば……》
「狙われるな。けど、他の場所に比べれば多少は可能性を見出せるか」
それに、対魔導士を考慮しておくのは俺としても好ましい。
術式による結界侵入は、誰かができればほぼすべての者に可能性が生まれるからだ。
権能と違い、術式は誰でも比較的同じ結果が生まれる。
……そういったことも考えると──よし、探してみますか。
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