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DIY、偽装工作に走る
魔導世界密入 その11
しおりを挟むチンピラたちに情報を吐かせていたら、禁句を語った男が苦しみだした。
とりあえず『マナキャンセラー』で対応できないか、試してみることに。
「……これは、ダメですね。外部の魔力ではなく内部の魔力を強制的に吸い上げて利用しているのですか。しかも、足りない分は直接生命力を搾り取って……」
「ま、不味い、逃げ──ぎゃあああ!!」
「そして、周囲の者も感染するように起動する仕掛けですか。なるほど、これは大変興味深いですね」
団体で責任を取らせれば、一人ずつ情報の吐き出し方を調べる真似はできない。
向こうにとって、チンピラたちはただの駒でしかない……使い捨て感覚なのだろう。
「だからこそ、彼らはもう貴方たちを売ることに何の躊躇いも感じることが無くなるわけで……普通なら、死にますけどね」
だが、ここに居るのは誰か。
虚弱な生産士……だがその虚弱さの代償に得たのは、休人最高の生産能力。
その手にするのは、神々しい液体の詰まった試験管。
液体の名は万能薬──死んでさえいなければ、ありとあらゆる問題を解消できる雫。
「頑張って【生産勇者】と『巧天』で強化した特注品です──さぁ、受け取りなさい」
簡単に作れる:DIY:式ではなく、難易度の代わりに完成時の品質を異様なまでに高められる二つの恩恵を受けている。
正直、DEXが999あっても足りないレベルで苦労したが、それでもどうにか完成させた万能薬EX(仮)を振り撒く……これ、複製できないから数が少ないんだよな。
若干の後悔を覚えるが、落ちたものは元に戻ることはない。
雫は彼らに降り注ぎ──契約によって傷ついた体を、元の状態に戻した。
「こ、こりゃあ……いったい」「う、腕が生えてきた!?」「っておい、今まで取れなくて悩んでたニキビが消えた!」「契約……反応が無くなってる!!」
皆それぞれ驚いているようだ。
契約は基本絶対順守、そういった認識の基に存在しているからこそ、より堅固なものとして確立されているようだし。
だが、所詮その認識は人の歴史が紡ぎあげてきたものに過ぎない。
創造神の御業……は使ってないが、普段借りている俺ならば、と試してみたら成功だ。
もしかしたら、もっとランクの低いものでも何とかなったかもしれない。
だが中途半端にやって、失敗したらバレる可能性も有るので大盤振る舞いしたわけだ。
「さ、て」
『!!』
「皆さんにご使用したポーション、大変お高いものになっていますが……お支払いの方、していただけますか? ええ、今回は特別に情報という形にしておきましょう。お口も治りましたし、話してくれますよね?」
全員が激しく首を縦に振ってくれている。
うんうん、協力に感謝しよう──捨て駒レベルでどれくらいの情報なのか、それを確認しておこう。
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