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DIY、偽装工作に走る
第二回プレオープン反省会 後篇
しおりを挟む小細工を仕掛けようとした休人。
それはただの目印だったとしても、今の休人たちの創意工夫次第でアイスプルへ乗り込めることを俺は懸念した。
傍から見て、一つの星を独占する俺の姿は創作物における悪そのもの。
偽りの大陸や都市まで創り上げ、真実を隠す姿などなお怪しいだろう。
「転移阻害の結界を、『騎士王』が突破した実例がある。星レベルではなく、あくまで街への侵入程度ではあったが……それでも、不可能じゃないんだよな」
装着者の想い、あるいは願いを汲み取り力の発現に必要な糧とする『プログレス』。
そのため発現する力に休人は基本的に適性があるし、また扱いも初めから上手い。
なんせ心のどこかで望んでいた力だ。
叶い、適う……つまり理想の体現とも呼べるものである。
「まあ、完璧じゃない分そこは魔石で調整してもらうんだが……本物なら、それも含めて可能にしていたんだろうな」
願望機、出自不明な機械。
それこそが『プログレス』の雛形であり、ある意味上位互換。
願った内容に合わせた力を、それこそ国一つ支配する出力で発動する。
それも、発動者に負担なく、かつ死後ですら永続的に……。
現状、『プログレス』がその域まで達するかどうかは不明だ。
まあ、創造神様がお求めになられた、超上位の能力『○○マスター』が鍵だな。
「それこそ、転移系の『マスター』が現れれば一瞬で突破可能だし。はてさて、これから大変になるぞ」
『……おい、それでどうするのだ? 民たちに危険が及ぶのは可能な限り避けたい』
上手く纏めてお開きにしたかったのだが、過保護な風兎に問い詰められる。
実際、対策をしてもなおこちらの上を行く者など『超越者』関係の連中で充分だ。
「ある意味、『プログレス』も『超越者』も広義の意味では同じ存在だ。理をも覆す権能で、常識を軽々と超えていく。なら、こっちはそれができないぐらい堅固な理を用意するしかないってわけだな」
『星の力を使うのか?』
「それも手だな。【救星者】には、いちおうそれが可能だと記されていた。けど、これを使うつもりは無い……それだとこれまでに準備してきたものが無意味になる。だから、俺が使うのは別の理──力の理だな」
レベルを上げて物理で殴る、ゲームにおいてある意味真理な超脳筋理屈。
もっと分かりやすく言うなら、数字が大きい方が勝つという子供でも分かる仕組みだ。
「向こうは数字を弄る、こっちは弄った数字でも勝てない数字を用意する。ただそれだけだ……自分でも言ってて、よく分からないけどな。けど、『SEBAS』に任せれば何とかなるだろう」
《お任せください。結界や阻害に条件を付けることで、より強固にすることは可能です。条件を満たされた場合の妨害は困難となりますが、それでも現状よりは強力な防衛が可能となるでしょう》
条件付け、制約と誓約みたいな感じで力は高められる。
縛りプレイをすることで、その分だけ応用が見つけられる……みたいなことか?
ともあれ、その辺は『SEBAS』に任せるということで風兎は納得した。
……俺よりも信用されているのだ、その事実は変わらないのである。
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